混迷の西武 なぜ?球団初のシーズン100敗ペース どう立て直すのか 松井監督電撃休養 渡辺監督代行の交流戦4勝14敗で借金増 評論家「フロントが選手を追い詰めてしまった」

 西武・松井監督(左)と渡辺GM兼監督代行

 「西武0-5DeNA」(16日、ベルーナドーム)

 西武が今季7度目の4連敗で交流戦を終え、借金は今季ワーストを更新する「25」となった。今季9度目の完封負けで2試合連続は今季初。松井監督の電撃的な休養発表から、渡辺GM兼監督代行で臨んだ交流戦だったが、4勝14敗で最下位。ここまで19勝44敗の勝率・302で、シーズン100敗ペースという惨状だ。

 5月26日のオリックス戦で連勝を飾った後、松井監督の休養が発表となったが、その時点では15勝30敗の勝率・333だった。浮上を期した交流戦18試合で4勝14敗の勝率・222。この短期間で借金はさらに10個増えた。首位・ソフトバンクとは23.5ゲーム差。3位・ロッテとも14.5差と大きく水をあけられているが、残りはまだ80試合もある。西武はここから、どう立て直せばよいのだろうか。

 今季の低迷は貧打に起因する部分が大きい。63試合で143得点。1試合平均は2.2得点で、ソフトバンクは62試合で263得点の同4.2得点で、1試合当たりで2得点の差をつけられている。FAでソフトバンクに移籍した山川の穴を埋めるために獲得したアギラー、コルデロが予想外の不振。パ・リーグの打撃成績を見ても、・229でリーグ25位の源田がチームトップという実情だ。ソフトバンク、日本ハム、ロッテ、楽天の上位4球団は、6選手が規定打席に到達しているのに対し、西武は源田と外崎の2人だけという点からも、苦しさがうかがえる。

 先発投手陣に目を移せば、ドラフト1位の武内が開幕から無傷の4連勝で防御率1.27と奮闘しているが、今井が3勝3敗、隅田も4勝5敗、ボーも1勝5敗と貯金を作れず、高橋に至っては0勝7敗という状況。平良は右前腕の張り抹消中と、やりくりの難しさも浮かび上がる。

 阪神OBの中田良弘氏は「やっぱり打線が苦しい。ホームランを打てそうなのが中村だけっていうのがね。トレードには限界があるから、外国人選手を獲得する以外に、大幅な得点力アップを望むのは酷だと思う」との見解を示した。

 続けて「補強に対する動きが遅いように見える。これだけチームが低迷していたら、フロントとして手当てが必要だと考えるのが普通。資金面などの都合もあるのかもしれないけど、今年の西武に関しては、アタマ(監督)を代えたら何とかなるっていう問題じゃない。逆に、松井監督を休養させたことで、選手を追い詰めてしまった」と指摘した。

 今季2度目の8連敗を喫した11日の広島戦。1点を追った九回2死二塁で、一塁へのゴロを放った源田が懸命のヘッドスライディング。ベースカバーに入った栗林との競争は間一髪のタイミングでアウトになり、悔しさと申し訳なさで源田はしばらくの間、起き上がることができなかった。主将の肩を抱いた先発の今井が涙し、源田は「今日は僕のせいです。すみません」と声を絞り出した。だが、「源田さんの姿を見て、グッと来るものがあった」という隅田が、翌12日に9回4安打完封勝利。そんな感動的なシーンがありながら、翌12日から4連敗と波に乗り切れない。

 中田氏は「残りが80試合もある。優勝は厳しいにしても、Aクラス入りの可能性はゼロじゃない。まだ来年に向けて戦い方を切り替えるには早すぎる。スタンドを見れば、いつも多くのファンが熱心に声援を送り続けている。あの姿をフロントは重く受け止めるべき。ここからの立て直しを最優先に、来年以降のビジョンも立てた中で、フロントと現場が一体となって戦っていってもらいたい」と語った。

 シーズン100敗は、1961年の近鉄が36勝103敗1分けという1例があるだけで、近年では球団創設初年度の楽天が2005年に喫した97敗が最多。これだけ白星が遠くても、お金を払って球場に足を運び、声をからして応援してくれるファンがいることを全員が忘れてはいけない。(デイリースポーツ・鈴木健一)

© 株式会社神戸新聞社