豪中首相が会談、軍の意思疎通改善へ 李氏「率直な協議」

Peter Hobson Kirsty Needham

[キャンベラ 17日 ロイター] - オーストラリアを訪問している中国の李強首相は17日、アルバニージー豪首相と会談した。中国の首相が豪州を訪れるのは7年ぶり。

会談後、アルバニージー氏は両国軍が意思疎通を改善し事故を防ぐことで合意したと記者団に述べた。会談にはマールズ豪国防相も出席した。

中国軍機は先月、黄海上を飛行していた豪州軍のヘリコプターの周辺に照明弾を投下。豪政府は危険な行為だと批判していた。

アルバニージー氏によると、会談では中国が太平洋島しょ国で勢力拡大を図っている問題を取り上げたほか、人権問題やロシアのウクライナ侵攻について協議。また、スパイ罪で執行猶予付きの死刑判決を言い渡された中国系豪州人作家、楊恒均氏の問題も取り上げたという。

李強氏は16日に南オーストラリア州のワイナリーとアデレード動物園を訪問した。豪州に4日間滞在する。

アルバニージー氏は「今回の対話を通じ、それぞれの関心事について認識を深めることができた」とし、両国は経済を補完し合い、気候変動問題への取り組みに共通の関心を持っていると述べた。

また「われわれには相違点もある。だからこそ率直な対話が非常に重要だ。オーストラリアは、平和で安定した繁栄する地域・世界の重要性、各国が主権を尊重し国際法を順守する地域・世界の重要性を一貫して主張している」と語った。

李強氏は会談後、記者団に「率直で掘り下げた実りの多い会談で、多くの点で意見が一致した」と発言。両国がエネルギー・鉱業分野の協力を拡大するほか、中国がオーストラリアをビザ免除措置の対象に加えることも明らかにした。

李強氏は「われわれはともに、域内外の平和と繁栄を共同で守るため、意思疎通と協調を維持する重要性を強調した」と述べた。

新華社によると、李強氏はアルバニージー氏に「ブロック対立と『新たな冷戦』に反対する」と伝えた。日米豪印による枠組み「Quad(クアッド)」や豪米英による枠組み「AUKUS(オーカス)」に言及したとみられる。

オーストラリアは最近、国益を理由に中国からの重要鉱物分野への投資を阻止しているが、新華社によると、李強氏は「オーストラリア側が中国企業に公平・公正・非差別的な事業環境を提供し、両国の人的交流でさらに便宜を図ることが期待される」と述べた。

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