イタリア人「他者への偉大な敬意が感じられた」 日本で衝撃を受けた光景とは

イタリア人のジュリア・ラウラさん【写真:Hint-Pot編集部】

世界的にも称賛される、日本人のマナーの良さやモラルの高さ。清潔な街並みや整然と並ぶ行列などに、驚く外国人観光客は少なくありません。そうした日本人の振る舞いを、外国人はどう感じているのでしょうか。過去に2度、日本へ来たことがあるというイタリア人女性に日本人の対応について聞くと、とても感動した場面があったといいます。いったい、どんなことに心が動いたのでしょうか。

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日本で感じた“おもてなし”精神 「とても親切。いつも助けてくれた」

日本の漫画やアニメを観て育ち、日本のカルチャーに深い関心を持つイタリア人のジュリア・ラウラさん。2014年に初めて日本を訪れ、4年後に再び訪日したほど魅力を感じ、東京のほか京都や箱根にも足を運びました。

各地で「展覧会もたくさん見たし、アートが鑑賞できるところにもたくさん行った」そうです。箱根では、彫刻の森美術館を満喫。旅館に宿泊し、「温泉に浸かって、とても良かった」と語ります。

彫刻の森美術館に常設展示されているフランソワ=ザビエ、クロード・ラランヌ作「嘆きの天使」【写真提供:ジュリア・ラウラ】

そうして旅行を楽しむなか、訪れた先や旅の途中で日本人とふれあう機会も多かったそう。ジュリアさんは「日本には“おもてなし”の精神がある。歓迎してくれるし、とても親切。いつも助けてくれた」と話します。

あるときは言葉が通じず、道案内の説明ができない人と出会いました。その人は伝えられないからと言葉で「ノーと言う代わりに」、ジュリアさんが「行きたい場所まで連れて行ってくれた」といい、日本人の親切さに感じ入ったそうです。

「そこにずっと置かれたまま」に驚き感動

そのような日本人の“おもてなし”や親切さを素晴らしいと感じたジュリアさんでしたが、それ以上に感銘を受けた場面があったと語ります。それは滞在中のある日、東京で目撃した光景でした。

「道端にバッグが置かれていたけど、誰もそれを盗る人はいなくて、そこにずっと置かれたままだった。他者への偉大な敬意が感じられたし、巨大な都市であるにもかかわらず、安全なところだと感じて感動した」

フードコートほかセルフサービスの飲食店などで、席を確保するために、スマートフォンやカバンを置いてその場を離れる日本人が多いことに、驚愕する外国人は少なくありません。海外の感覚では“どうぞ盗んでください”と言わんばかりに見え、視点を変えると不用心な対応ともいえます。

そんな場面が、ありふれた日常になっている日本。仮に、道に置かれたままのバッグを動かす人がいたとしても、そのほとんどが持ち主に戻るように連絡先を探したり、交番に届けたりするためでしょう。

持ち主がそばにいなくても置かれたままのバッグに、モラルの高さ、自分以外の人に対する思いやりを持つ日本人の特性を見たと感じたジュリアさん。大きく心を揺さぶられ、深く印象に残ったようです。

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