絶滅危惧種の五針白皮松、人工栽培3代目を野外に移植 中国雲南省

絶滅危惧種の五針白皮松、人工栽培3代目を野外に移植 中国雲南省

 12日、中国の国家1級重点保護野生植物に指定される五針白皮松。(昆明=新華社配信/張順富)

 【新華社昆明6月17日】中国雲南省昭通市の薬山国家級自然保護区管理保護局は16日、国家1級重点保護野生植物に指定される「五針白皮松(Pinus squamata X.W.Li)」の人工栽培第3世代苗千株を初めて野外に移植したと明らかにした。

 五針白皮松は1990年代に発見され、昭通市巧家県にのみ分布する希少種であることから巧家五針松とも呼ばれる。国際自然保護連合(IUCN)レッドリストの絶滅危惧種(CR)に指定され、現在生息する野生個体種は1平方キロ足らずの狭いエリアに分布する35株のみとなっている。

絶滅危惧種の五針白皮松、人工栽培3代目を野外に移植 中国雲南省

 雲南省の薬山国家級自然保護区で撮影した五針白皮松。(資料写真、昆明=新華社配信/張天壁)

 野生株の分布域と周辺1100ヘクタール近くの森林は2005年、雲南薬山国家級自然保護区に組み込まれた。野生株の発見以来、地元は関係部門や機関と連携して個体群の保全を図るとともに、種子の採集や発芽実験、幼苗の栽培などを通じて個体群の回復や近距離移植、生息域外移植を段階的に実施し、科学研究と緊急保護を進めてきた。

 同管理保護局科学研究所の胡艶萍(こ・えんへい)所長は「五針白皮松は長年のモニタリングでも自然更新が確認できなかったため、人工飼育で個体群を拡大し、絶滅危惧種と生物多様性を最大限保護するしかなかった」と説明した。

絶滅危惧種の五針白皮松、人工栽培3代目を野外に移植 中国雲南省

 12日、五針白皮松の人工栽培第3世代の苗。(昆明=新華社配信/張順富)

 五針白皮松は野生株の自然衰退や特殊な生息環境などにより種子の採取が難しい。同研究所は第2世代の種の採集を昨年から実施し、第3世代の苗千株余りの人工飼育に成功。うち千株を今回、同県金塘鎮梨樹村の新たな生育地点に移植した。

 胡氏は今後について、移植後の状況を持続的に観測し、観測データを通じて苗の生存率や生長、健康状況などを分析すると説明。これらのデータが五針白皮松の保護をより良く進めるための根拠になると語った。

 五針白皮松は三十数年の保護の取り組みにより個体群が着実に増加。これまでに8千株余りを人工栽培したほか、保護した苗と幼木は4千株余りに上る。うち、3千株余りが同県に活着し、千株余りが昆明市や楚雄イ族自治州、大理ペー族自治州など雲南省内の生息環境の異なる場所に移植された。(記者/林碧鋒)

絶滅危惧種の五針白皮松、人工栽培3代目を野外に移植 中国雲南省

 12日、雲南省昭通市巧家県で、五針白皮松の第3世代の苗を鉢上げするスタッフ。(昆明=新華社配信/張順富)

絶滅危惧種の五針白皮松、人工栽培3代目を野外に移植 中国雲南省

 12日、雲南省昭通市巧家県にある五針白皮松の育苗実験地。(昆明=新華社配信/張順富)

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