写真家・武田花さんを偲んで。日常風景が輝くフォト&エッセイ集

読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、武田花さんの本を。

写真家の武田花さんが4月30日に亡くなられました。写真もエッセイもとても好きでした。心よりお悔やみ申し上げます。

以前ご紹介した『ポップス大作戦』の記事をもう一度お届けいたします。

***

『ポップス大作戦』見知らぬ町へ旅したくなる、武田花フォトエッセイ

写真家・武田花のフォト&エッセイ集、新刊です。ずっと撮り続けていたモノクロ写真からカラー写真へ、日常風景がビビッドな色に輝きます。「明日、上天気なら、電車に乗って、どこぞに旅に出よう。知らない所へ」——。旅心誘われる一冊をどうぞ。

ポップス大作戦
著者:武田花
出版社:文藝春秋

見知らぬ町を旅しながら、建物の暗い階段をのぼり裏通りを歩く。ある日、著者の花さんが雑居ビルのエレベーターを上がると、カラオケルームの入り口にゴシックロリータ風の美しいおばあさんが座っていた。歓楽街の路地を行くと、道端の暗がりの水槽に真っ赤な金魚がゆらめいていた。

ほの暗い場所にはきっと、外からじゃ絶対見えない素敵なものがあるのかもしれません。

色が弾けるカラー写真に写ったものたちは、こちらにぐいぐい迫ってくる感じがします。色褪せても打ち捨てられても、強烈な存在感を放ってる。ボーリング場の屋上の巨大なピンなんて青空を突き抜けそう。古びた看板もショーウインドーも公園の遊具の動物たちも、いつか再び輝く瞬間を待っているかのようです。

暗がりを出た花さんが空を見上げて、死んだ猫の名前を呼びます。「くもちゃーん、元気で死んでますかあ」——。大きな声が空に吸い込まれていく。青い空と雲の優しい写真が好きです。

武田花さんの本、以前ご紹介したこちらもぜひどうぞ。
『仏壇におはぎ』
『イカ干しは日向の匂い』
『遊覧日記』お母様の武田百合子さんのエッセイ。写真は花さん。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/topics/cafebonbon/

© アイランド株式会社