名将ムラトグル氏を再招聘で成績が安定したルネ、キャリアハイの世界4位時よりも「2倍くらい良い」とプレーに手応え<SMASH>

男子テニス界の次代の星として大きな期待を寄せられている21歳のホルガー・ルネ(デンマーク)。今季はここまで22勝12敗、1月の「ブリスベン国際」(オーストラリア・ブリスベン/ATP250)での準優勝を含め、ベスト4以上の進出が4度と安定した成績を残している。

さらには先日行なわれた今季2つ目の四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ/クレー)でも16強入り。しかし大会後に更新された世界ランキングでは2つ順位を落とし、現在は2022年10月以降では自身最低の15位となっている。

だがルネ本人はランキングのことは特に気にしていない様子だ。最近応じたデンマークメディア『TV2』のインタビューで21歳のヤングスターは「それについては考えていないし、問題ないと思う。もちろんグランドスラム(四大大会)ではトップシードにはなれないけど、初戦でアルカラス(スペイン/2位)のような選手と当たることもないからね」とコメントした。

ルネといえば、昨季終盤にチームに迎え入れた元世界王者のボリス・ベッカー氏(ドイツ/56歳)と、22年に引退したロジャー・フェデラー(スイス/元1位)の元指導者であるセベリン・リュティ氏(スイス/48歳)とのコーチ契約を短期間で終了したのは周知の通り。今年2月には昨年9月に一度師弟関係を解消した名将パトリック・ムラトグル氏(フランス/54歳)を再招聘していた。
やはりジュニア時代から旧知のムラトグル氏の指導が合っているのか、最近の自身のプレーについてルネは、昨年8月にキャリアハイの世界4位を記録した時よりも「2倍くらい良いと感じる」と手応えを口にする。

「当時は夏の間、いくつかの試合に勝つのに少し苦労したが、今は良い流れに乗っていると感じている。良いテニスができていて、一生懸命かつ計画的に(競技)に取り組めているし、試合でも以前より安定していると思う」

現状21歳以下でトップ20にランクインしているのはアルカラスとベン・シェルトン(アメリカ/14位)とルネの3人。いち早く10位圏内に復帰するためのカギとしてルネは「プロセスを信じ続ける」重要性を説く。

その上で「精神的にも、肉体的にも、プレーの面においても、僕は正しい道を歩んでいる。全仏オープンの4回戦で負けたことに満足しているとは決して言えないけど、明らかに以前よりもストロークが良いなと思えた」と今後への自信を示した。

本日開幕した「シンチ選手権」(6月17日~23日/イギリス・ロンドン)で芝シーズン初戦を迎えるルネ。尊敬するムラトグルー氏のサポートを背に、今後のさらなる活躍を期待したい。

文●中村光佑

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