仮設住宅の孤独死もある中 入居者の孤立を防げ 被災地で「おしゃべり喫茶」が開催

能登半島地震で仮設住宅への入居が進んでいますが、心配されているのが高齢者の「孤立」です。地震前にあった地域のコミュニティーの維持が難しい中、住民どうしが顔を合わせる機会を作ろうと、この週末、輪島市で交流を深める催しが開かれました。

15日、仮設住宅に入居した人や、自宅で生活を続ける人たちが顔を合わせました。

ジャパンハートメンバーと住民「元気でした?お母さん。うれしい、来てくださって。おしゃれして。可愛い」

「おしゃべり喫茶」と題したこの催しは、特定非営利活動法人・ジャパンハートが開きました。ジャパンハートは能登半島地震の支援活動として避難所や診療所に看護師を常駐させたり巡回診療を行うなど、被災者の健康面をサポートしてきました。

参加した住民「夫が脳梗塞になったのを見つけてくれた。能登病院に10日ほど入院して治ってきたが、その時も心配してくれた。」

この日はおよそ30人が文字通り「おしゃべり」を楽しんだり、血圧を測ってもらったりして交流を深めていました。

おしゃべりの様子「周りの方にも、もし良かったら声かけて。最近お部屋暑いけど大丈夫?って」

参加した住民「楽しいです、とっても。友達から呼んでもらって、今日は家におったけど喜んで来てます。自分の家に何とかいられるんやけど、ポツンと一軒家になってもーて。みんなこっち来てもうとるから。うちにおると、うちの犬とツバメしか見えんげん。みんな誰もいないから。だからすごい寂しい。」

この仮設住宅には、輪島市内では最大の279戸が建てられていて、門前町の9つの地区から被災者が入居しています。住まいの近くには顔見知りがいるものの団地全体では知らない人も多くいるといいます。

参加した住民2人「(Q知らない人結構多い?)ほうやね。地域がね、まちまちやもんね。全然知らん人の寄り集まりやから。だからやと思うよ。」

5月、この仮設住宅では持病を持つ一人暮らしの70代女性が亡くなっているのが見つかりました。

仮設住宅はプライバシーが守られる一方で健康面などで目が行き届かないという課題が浮き彫りになっています。

仮設住宅の住民「不安やわね。一人暮らしだしね。怖いね。私はずっと一人。ほんなら良いけど、私初めてやから。」

特定非営利活動法人ジャパンハート看護師・枡田眞弓さん「門前に今、色んなNPOの方たち入ってきてるので、その方たちと連携しながら『どうやらここの団地のこの方はちょっとお家にいらっしゃることが多いですよ』とか、そういった情報をみんなで共有して。私たちはカフェをやるけれども、別の団体の方に訪問に行っていただくとか、色んな団体が集まっているからこそ、力を合わせて分担しながら幅広くフォローができたら良いのかなってのは思います」

ジャパンハートでは今後も気軽に地域住民や支援者が交流できる場を設けることにしていて、被災者を孤立化させない取り組みを進めていくということです。

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