すぐに「できない」と言ってあきらめる子の対応方法は?サポートの例をご紹介!【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

すぐに「できない」と言ってあきらめる

何事も、やる前からかたくなに拒否しがち。特に、新しいことに誘ったり、何度も声をかけたりすると、どんどん機嫌が悪くなっていきます。

例えば、こんな状況

お正月遊びで、コマ回しに挑戦しているクラスのみんな。しかし、Kくんだけは「できないから、いい」と言ったきり口を開かず、教室の隅に行ってしまいました。

あなたならどうする?

1.「できそうなこと」を探り、誘ってみる

2.本人にやる気が出ないとだめなので、放っておく

【解説】おすすめは1!

本人の様子をそっと見守り、待つ時間が必要なこともありますが、ただ「放っておく」のは望ましくないかもしれません。子どもが失敗にめげず挑戦していくためには、「自己安定感」が必要だとされています。この感覚が乏しく、自信が持てない子に対しては、保育者の適切なアシストが必要だといえるでしょう。

考えられる背景

「失敗したらと思うと、ドキドキしちゃう」

初めて取り組むことに「難しそう」「できないかも」といった考えばかり浮かんでしまい、挑戦する気になれないことがあります。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

頑張ればできる、スモールステップの目標を

最終目標を掲げるだけでなく、達成しやすい目標も設定してみましょう。ヒモで回すコマが難しいなら、手で簡単に回せるコマを用意して、まずはそちらを楽しむといったことです。「上手に回せたね」と少し大げさなくらい褒めて、「できた!」と感じてもらいましょう。

こうした体験の積み重ねで自信が育まれれば、難易度の高いことに挑戦する意欲もわきやすくなるはずです。

考えられる背景

「僕はどうせ、何をやってもだめなんだ」

できないことをからかわれる、「だめな子」と言われるなど、以前にマイナスの評価を受けたことが強く心に残っているケースもあります。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

「認められる経験」を日常的に増やそう

他者から認められたり、褒められたりする経験があってこそ、「自分はできる」という自信が生まれます。子ども自身、自分の「好き」や「得意」に気付いていないこともあるので、保育者が積極的に見つけていきましょう。

日常的な遊びや生活の中で、「Kくんはかけっこが速いね」「ブロックがとても高く積めるね」といったように、できることを口に出しながら示していくイメージです。

ほかにもたくさん!サポート声かけ例

・できたね、すごいよ!

・きっとできるようになるよ

・〇〇ができてすごいね!

・うまくいかなくても、大丈夫!

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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