F1復帰を諦めるつもりはないと主張するシューマッハー。一方でシート獲得に向けて戦うのは「消耗する」と明かす

 ミック・シューマッハーは、F1の夢を諦めようとはしていないが、どれだけ自分の決意が固くても“消耗する”戦いをしていることを認めている。

 シューマッハーは2022年シーズンの終わりにハースのシートを失った。しかしその後、メルセデスのリザーブドライバーになったことで、いくつかあるタスクのなかでも特に重要なレースウイーク中のシミュレーター作業をチームのために行うなど、F1への足がかりを残している。

 25歳のシューマッハーは、自分が直面している課題と、F1でフルタイムのシートを取り戻すために絶えまない努力をしなければならないことに疲れを感じていると率直に認めている。

「復帰に向けて戦うのは消耗する」とシューマッハーは『The Independent』のインタビューで語った。

「とてもおいしいケーキを贈られたのに、食べることは許されないというようなものだ。そして、他のみんながそれを食べるのを見ていなければならない。きついのは確かだが、なぜ自分がこうしているのかはわかっている」

「正直に言うと、2年前の僕と今の僕は何の関係もない。F1は僕が5歳の頃から抱いていた夢だ。今その夢を諦めるつもりがあるわけないだろう? チャンスがあるように感じるときがあっても、何か他のことが起きてしまうから、実際には実現しない。ここ数年は、ジェットコースターのように感情が揺さぶられ、疲れ果てていた。でも僕は復帰に向けて努力している」

メルセデスF1トト・ウォルフ代表(写真左)とリザーブドライバーを務めるミック・シューマッハー(写真右)

 シューマッハーは、アルピーヌからWEC世界耐久選手権に出場している。そのアルピーヌでエステバン・オコンが手放すことになるシートと関連して、他のドライバーとともに彼の名前が挙がっているが、彼にチャンスはほとんどないようだ。メルセデスでさえ、リザーブドライバーを真剣に検討しているようには見えない。ブラックリーのチームは何よりもまず、傘下の若きアンドレア・キミ・アントネッリをF1に押し上げることに重点を置いているからだ。

「履歴書を書き始めて、みんなに送ってみようかな! 僕の目標はグリッドに戻ることで、そのことは決して秘密にはしていない」

「チャンピオンシップを勝ち取る能力があることを、僕はあらゆる方法で証明してきた。これは誰かのスケジュールや、計画に合うかどうかの問題だ」

 シューマッハーは、ハースで2シーズンにわたりF1について学んだが、その修行はチームとドライバーの双方にとって時に高くつくものだった。しかし、自身のドライビング能力にはまだ十分に発揮されていない重要な側面があると、シューマッハーは示唆している。

「特にドライビングの観点からは、まだ見られていないことがたくさんある。僕は(ハースで)どうすれば改善できたかわかっているし、僕の方から見せられることはまだたくさんある。重要なのは、今チームでは何が求められているかということだ。チームを構成できる人材が必要なのか? マーケティングに優れた人材か? 黙ってドライビングだけをする人材か? あらゆるタイプのドライバーがいる」

「僕は本当にハングリーになっている。僕はWECでパフォーマンスを発揮し続け、自分の実力をみんなに見せなければならない。そうすれば、僕を起用したら何が得られるのかわかってもらえるし、僕を起用しなかったのは間違った判断だったとみんなに証明できると思う」

36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム) 2024年WEC第4戦ル・マン24時間

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