なでしこジャパンきってのムードメーカー高橋はな。CBとCFの“二刀流”にも期待【パリ五輪の選ばれし18人】

パリ五輪に挑むなでしこジャパンのメンバーがついに決まった。ここでは12年ぶりのメダル獲得を目ざす日本女子代表の選ばれし18人を紹介。今回はDF高橋はなだ。

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なでしこジャパンきってのムードメーカーが、パリ五輪の舞台でもチームに明るさをもたらすだろう。三菱重工浦和レッズレディースのDF高橋はなは、アジア最終予選となった北朝鮮戦後に負傷離脱するピンチもあったが、それを乗り越えて本戦メンバー18人へと名を連ねた。

プレーでの魅力はフィジカル的な強さだ。高さがあり、球際も力強い。ゴール前のポジション争いで押し負けることも少なく、ジャンプの頂点でボールを捉えるのが上手い。池田太監督も「まず何よりも身体の強さ、相手に対応した時の1対1の強さやスピード、ヘディングの強さといった守備力が良さだと思う」と期待を話した。

浦和Lの下部組織で育った選手だが、育成年代からセンターバックとセンターフォワードの2つのポジションで起用されてきた。その強みが発揮された場面の1つが、パリへの切符を勝ち取った2月28日の最終予選、北朝鮮とのホームゲームで決めた先制ゴールだ。

フリーキックがゴール前に入ると、空中で何度か行き来したボールは最終的にクロスバーに当たってこぼれる。この間、オフサイドにならないようにポジションを修正して、常に足を止めず、こぼれ球に反応できるようにしていた高橋は、相手より一歩先んじてボールに触って押し込んだ。ストライカーとしての“嗅覚”を感じさせる場面だった。

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本戦を見据えれば、18人の枠内でメンバーをやり繰りする必要がある。セットプレーの攻撃参加だけでなく、パワープレー気味に前線へ選手を増やしたい場面では、高橋の配置転換が選択肢になるだろう。

なでしこジャパンに大きなものを与えた高橋だが、3月中に右腓骨筋腱脱臼のアクシデント。28日に手術をするに至った。五輪への出場に黄色信号が灯ったものの、シーズンの最終盤に何とか復帰。浦和のWEリーグ2連覇に貢献し、ベストイレブンにも選出されてメンバー発表の日を迎えた。

そして池田監督は「何よりも彼女の持っている明るさはチームにとって、とてもプラスになる、いつもチームを助けてくれる要素だ」とも話した。浦和Lがタイトルを獲得すると、トロフィーを掲げる際に必ず高橋が1つ芸を打つ。

男子チームにかつて在籍した森脇良太から受け継がれ「森脇芸」とも呼ばれる一幕だが、彼女の明るさとチームメイトに愛される部分を象徴しているものだ。パリでもピッチ内外で貢献する姿が期待される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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