「米原~新大阪はJR西に移管すべき」北陸新幹線延伸で“米原派”急先鋒の市長が馳浩知事に反旗

北陸新幹線の福井県の敦賀より西の延伸をめぐって、現行で予定されている「小浜・京都ルート」ではなく、滋賀県の米原に通すべきだと声高に主張するのが石川県加賀市の宮元陸市長です。

一方で石川県の馳浩知事は、政府・与党合意の「小浜・京都ルート」を堅持するべきとの立場で、考え方の不一致が浮き彫りになっています。

3月16日に石川県内で全線が開業した北陸新幹線ですが、そのタイミングで加賀市の「加賀温泉駅」に新幹線が停車するようになりました。東京方面へのアクセスが良くなり、市にもたらされるメリットは大きいですが、大阪方面に早くつながってほしいとの思いを抱えている状態です。

加賀市・宮元陸市長「ほかの交通アクセスとの関係も、利便性は高い。米原ルートの優位性はもともとあったんだろうと。北陸が関東、関西、中京と結ばれるということが一番重要なことなので」

5月22日、石川県加賀市で南加賀地域の市長らでつくる「オール加賀会議」の総会が開かれました。この場では、「米原ルート」の再検討を求め全会一致で決議しました。その中心人物が加賀市の宮元陸市長です。

宮元市長はリニア中央新幹線の開通を前提に、「米原から新大阪までの区間をJR東海からJR西日本に移管すべき」だと持論を展開します。

加賀市・宮元陸市長「JR東海が乗り入れている米原から大阪の路線は、譲渡か移管すればよい。JR東海はすでにリニアの計画に入っているし収益の高い会社なので。そこは国が調整・支援して、JR西も納得できるように。日本が今、衰退している状況はそういうところだと思う。政治が判断できない、リーダーシップがない」

宮元市長は、自民党所属で石川県議を4期務め2013年に加賀市長に就任しました。自民党の衆院議員だった馳浩知事との関係は良好で、保守系3氏による激戦となった2022年の石川県知事選挙では馳氏の支援にまわりました。

馳知事はこれまで一貫して、政府・与党合意で決まっている「小浜・京都ルート」で進めるべきとの考えですが、宮元市長は「米原ルート」を推しています。

「小浜派」の馳知事と「米原派」の宮元市長。新幹線の延伸問題については意見が異なります。

5月22日に東京で開かれた北陸新幹線の建設促進大会。沿線の知事らが集まり毎年開かれる会合で、馳知事は「小浜派」の立場で発言しました。

石川県・馳浩知事「京都においては水の問題や(トンネル工事による)残土処理など課題があると承知している。これを京都だけの問題ではなく我々沿線で真剣に考える必要がある」

加賀市・宮元陸市長「あれは、本人の心の中はわかりませんが、課題解決しないと難しいよということを暗に言っているのではないかと私は思います。あの場じゃ言いにくいでしょうけども」

ただ、馳知事はこれまで一度も公の場で米原ルートを是認する発言をしたことはありません。

11日の石川県議会でも、「小浜派」の立場で答弁に立ちました。

石川県・馳浩知事「福井県、富山県が小浜・京都ルートを支持していることなどから、小浜・京都ルートに賛意を表明し現在でもこうした状況に全く変わりはありません」

18日には、都内で2024年度初の北陸新幹線の与党整備委員会が開かれます。小浜・京都ルートへの具体的な道筋をつけることが政府・与党の方針ですが、今後波風が立たずに議論が進むことになるのか、注目を集めそうです。

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