『鬼滅の刃』最も過酷だった悲鳴嶼稽古 杉田智和の低音ボイスが強調する“存在感”

数々の柱たちの試練をクリアした炭治郎はついに悲鳴嶼の稽古へと挑む。だが、それがこれまでの稽古とは一線を画すほど過酷なものだった。TVアニメ『鬼滅の刃』柱稽古編第6話「鬼殺隊最強」では、岩柱・悲鳴嶼の稽古の厳しさを知ることとなる。

「最も重要なのは体の中心……足腰である」

悲鳴嶼が稽古の中心に添えているのは正確な攻撃と頑丈な防御を身につけるための体の強化。炭治郎と善逸には、「滝に打たれる」「丸太三本を担ぐ」「岩を一町先まで運ぶ」という試練が与えられた。想像を絶する修行に対し、善逸は気を失ってしまう。

久しぶりの登場となった村田のアドバイスもあり、善逸は日光に照らされて温かくなった岩へとしがみつき九死に一生を得る。「柱稽古編」は無惨との最終決戦に向けた大事な章であるが、このようにギャグシーンもしっかりと織り込んでくるあたりが『鬼滅の刃』らしい。それによって、この先に控えているシビアな最終決戦を効果的に際立たせている。

今回からフォーカスされているのは岩柱・悲鳴嶼。これまでもたびたび鬼殺隊の柱をまとめるリーダー格として登場していたが、その素性は明かされていなかった。伊之助も語っていたが、悲鳴嶼は鬼殺隊最強の実力者。炭治郎も「悲鳴嶼さんだけ匂いが全然違うんだよな」とそのポテンシャルを肌で感じているようだ。

そんな悲鳴嶼のCVを担当しているのは杉田智和。『銀魂』の坂田銀時をはじめ、『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョンや『ジョジョの奇妙な冒険』のジョセフ・ジョースターなどでも知られる日本を代表する声優のひとりであり、重厚な低音が魅力だ。悲鳴嶼のどっしりとした面構えが杉田の声質とよく合っていて、悲鳴嶼の“存在感”を強調していた。

滝行と丸太をクリアした炭治郎は最後の修行へ。自分の身体以上の岩を運ぶのは想像を絶するもので、炭治郎も簡単には押すことはできない。あまりにも過酷な訓練に諦めてしまう鬼殺隊の面々も。原作ではカットされていたが、炭治郎が諦めて後方支援に回った鬼殺隊員に向かって「みなさんが後方支援をしてくれたら、俺たちも安心して鬼と戦えます。鬼殺隊全員の力で鬼舞辻無惨の首を取りましょう!」と励ましていたのがとてもよかった。

6日経過してもなお岩を動かすことができず、悩んでいた炭治郎のもとにやってきた玄弥。「お前、額の痣濃くなってないか?」という玄弥の言葉のおかげで、炭治郎は痣を自らの意思で発現させていることに気づく。同じく岩の訓練をやっていた玄弥によると、「あらかじめ決めておいた動作をする」という反復動作が岩を動かすためのコツだという。反復動作をするために炭治郎が頭に思い浮かべたのは“大切な人の顔”、煉獄さんの「心を燃やせ」という言葉だ。善逸や伊之助が見守る中、炭治郎はついに岩を動かすことに成功した。

しかし、気になるのは無惨たちの動向だ。炭治郎たちの訓練の合間に描かれていたが、無惨が産屋敷邸を特定するのは時間の問題だろう。焦りは禁物だが、炭治郎たちに残された時間はわずかだ。
(文=川崎龍也)

© 株式会社blueprint