「木造大日如来坐像」X線CT撮影調査

本格的な修復のため米沢市の寺院から運び出されていた「木造大日如来坐像」のX線CT撮影調査で内部から多数の納入品が発見されました。
仏像の中に何が入っていたのか、田中記者の報告です。

【田中良樹リポート】米沢市の寺院・普門院の本尊「木造大日如来坐像」は300年から400年前に作られ、およそ230年前に西川町の湯殿山神社から贈られたとされる仏教美術として価値のある仏像です。

2023年4月、専門家らの調査で「倒壊の恐れがある」などの指摘を受け修復することになり、今年4月におよそ230年ぶりに運び出され、東北古典彫刻修復研究所が修復作業を行っていました。

当初は製作年代などの解明に向け内部構造を詳しく調べるという目的でX線CT調査を行うことになりましたが。

【田中良樹リポート】「こちらがX線による調査が行われた仏像です。なんと仏像の体の中に多くの納入品が見つかったということなんです。一体どんなものが発見されたのでしょうか」

調査の依頼を受けたのは東北芸術工科大学文化財保存修復研究センターの伊藤幸司教授です。

X線CT撮影装置を使った研究を外部の組織と共同で行うのは初めてだということです。

調査の結果、頭部には巻物や切羽と呼ばれる刀装具など10点ほどが納入されていました。

そして、胴体には模様が施された巻物の中に仏像が2つ確認できます。

厨子に入った3.5センチほどの金属製の仏像とおよそ13センチの木でできた仏像です。

今回のように多くの種類の納入品が見つかることは珍しいといいます。

【東北芸術工科大学 文化財保存修復研究センター 伊藤 幸司教授】「分かったこともありますけれども、さらに謎がでてきたわけです。これから調べなければならないものが中に入っているということが分かったということが大きい成果だったと思います」

納入品が入っている理由や意味、当時の人がどんな思いで入れたかなどについてはこれから調査を行うということです。

【東北古典彫刻修復研究所 渡辺真吾副所長】「ただびっくりという感じです。芸工大の方ではこれからも仏像のCTスキャンをしていくことがあると思いますので、それで得られた新知見なども参考にしながら解明を進めていきたい。」

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