子どもの風邪で「有休」を申請! 上司に「今日は出勤してほしい」と言われたけど、有休は認められないの? 有休取得のルールを解説

有休取得は原則として認められる

有給休暇は、会社の承認によって取得できるものではなく、従業員が取得を希望すれば無条件で与えられるものです。そのため、子どもが風邪をひいて休みを取りたい場合、会社側は拒否できず、特別な事情がない限りは別の日に取得の変更を求める時季変更権も行使できません。

有休取得を認めると事業の正常な運営を妨げるケースでは、会社は時季変更権の行使が認められます。ただし、単純に仕事が忙しい、代わりの従業員がいないなどの理由では認められません。時季変更権が認められるのは限られた状況だけです。

そもそも、会社は有休の使い方を指定することはできないので、子どもが風邪をひいたとの理由での有休取得は問題ないといえます。

また、有休は1日単位で取得する方法以外にも、労使協定の締結で時間単位での取得も可能です。近所に親戚が住んでいるなら時間休を取って預けてから、自分は会社に行く方法などもあります。ただし、この場合でも会社が命令して時間休を取らせることはできず、あくまでも従業員が自分で時間休にするかどうかを判断することがポイントです。

有休取得による不利益扱いは禁止されている

有休取得は従業員に認められている権利の1つに該当し、有休取得を理由として手当や査定を下げるなどの不利益扱いは禁止されています。反対に、有休取得をしない場合にはボーナス査定をよくする、皆勤手当ての支給をするなど従業員にとって有利になる内容であっても禁止されています。

従業員にとって有利になる内容で規定などを作ってしまうと、有休取得の意欲をそぐことにつながるためです。従業員一人ひとりが心身をリラックスさせて、仕事とプライベートを充実させるのが有休の目的といえます。

会社は従業員が有休取得しやすいように環境を整えて、仕事とプライベートを両立させられるようにする義務があります。

有休が認められない場合の対応方法

会社が有休を認めない場合は、法律的な観点から見ると基本的にアウトでしょう。有休取得は従業員が希望すれば無条件で与えられるものなので、会社が拒否して出勤を命令するとパワハラなどに該当する可能性があります。

厚生労働省では、パワハラに該当する定義として「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害される」の3つのポイントをすべて満たすものとしています。有休取得を認めずに出勤を命令した場合、これら3つのポイントをすべて満たしているといえます。

会社に対してパワハラを訴えたいと考える場合は、証拠を集めて労働基準監督署や弁護士に相談することをおすすめします。本来なら認められている権利を侵害されている場合、最終的に裁判などに発展する可能性もあるからです。

まとめ

子どもが風邪をひいて休みたいと会社に連絡して、有休日数が残っているにも関わらず認められないならパワハラに該当する可能性も考えられます。繁忙期などでどうしても仕事が回らない場合などは時季変更権の行使が認められますが、そのための条件は極めて限定されています。

日常的に有休取得が会社に認められないなら、パワハラとして訴えるための証拠を集めることが重要です。

出典

厚生労働省 しっかりマスター労働基準法-有給休暇編-
厚生労働省 あかるい職場応援団 ハラスメントの定義

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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