超高齢化社会を迎えている日本では高齢者向けの施設も増えてきてはいますが、中には「老人ホームやデイサービスなんて……」とマイナスのイメージを持つお年寄りも少なくないようです。今回は、筆者の友人がユニークなエピソードを聞かせてくれました。
高齢の祖父が心配
私の祖父は今年90歳になりますが、年齢のわりに考え方が若く、身なりにも気を遣っていてオシャレです。
私にとっては大好きな自慢の祖父なのですが、最近ちょっと悩んでいることが。
平日の昼間、祖父以外の家族は全員学校や職場に出掛けていなくなります。まだまだ元気な祖父ですが、さすがに高齢者が家に1人だけというのも物騒だし、心配です。
そこで、家族がいない時間帯だけでも近所のデイサービスに行かないかと持ちかけてみたのですが…。
デイサービスに行くことを拒否
祖父はデイサービスを「そんなダセェところに行けるか」と断固拒否!
実は数年前に亡くなった祖母は毎日楽しくデイサービスに通っていたのですが、そこで子どものような遊びをしているのを祖父は見たことがあって、「あんなことをさせられるなんて恥ずかしい」と感じてしまったようです。
もう利用するデイサービスの目処も立っているのに、肝心の祖父がこの調子では、とても通えそうにありません。
所長に相談すると…
悩んだ末、デイサービスをお願いする予定の老人ホームの所長に相談すると、ユニークで面白い案を出してくれました。
それは、デイサービスエリアの一角に【チョイ悪スペース】を作ること!
古びた黒い革張りのソファを置いたり、壁に渋いポスターを飾ったりして、祖父世代の人たちが憧れる【カッコイイ大人の隠れ家】を作り出してしまったのです。
もちろん祖父が子どもっぽいと考えている遊びをさせられることもなく、そのスペースではポーカーやチェス、将棋など、大人っぽい遊びをすることができます。
チョイ悪オヤジたちの老後
祖父はこの【チョイ悪スペース】を一目で気に入ったようで、今では週に何度も「行って来るわ!」と出掛けていき、自分と似たようなチョイ悪オヤジたちと楽しい時間を過ごしているようです。
もちろん場所は老人ホームなので禁煙ですし、アルコールも禁止です。出されるお菓子も健康的なものばかり。
完全な個室ではなくパーテーションで区切られているだけなので、職員さんの目も届きます。
祖父が楽しく、自発的に行こうと思ってくれる場所が見つかって、私も家族も胸を撫で下ろしました。
まとめ
このホームのように、お年寄り自身が楽しんで「行きたい」と思える場所が、これからも増えていくといいですね。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:藍沢ゆきの