「他の選手よりも一歩抜きんでている」 EURO初戦で殊勲者となったベリンガムを母国メディアがこぞって大絶賛!「こんな選手がこれまでいただろうか?」【EURO2024】

現地時間6月16日に行なわれたEURO2024のグループリーグ第1節で、優勝候補の筆頭に挙げられるイングランド代表はセルビア代表を1-0で下し、白星発進を切っている。

ゲルゼンキルヘンでの一戦は開始13分で動き、ブカヨ・サカの右サイドからのクロスにジュード・ベリンガムが頭で力強く合わせてイングランドが先制。その後は幾度か相手ゴールに迫ったものの、後半はイングランドがやや失速したこともあって苦戦を強いられる展開となり、最後までスコアが動くことはなかった。

虎の子の1点を自ら決めて母国に初勝利をもたらしたベリンガム。弱冠20歳にして2度目のEURO出場を果たした背番号10は、そのエースナンバーに相応しい多彩な仕事を果たした。レアル・マドリー加入1年目でラ・リーガ&チャンピオンズリーグ制覇に大貢献した勢いを持続し、今大会1戦目から周囲の期待に十分に応えている。
試合後、この試合の「マン・オブ・ザ・マッチ」に選定されたベリンガムは、「どんな相手との試合でもインパクトを与え、試合を決定づけられる自信がある。僕はプレーするのが本当に楽しい。だからピッチに立てば、恐れずにプレーする。それが、とても好きだからね。解放感があるんだ。仕事ではなく、喜びのように感じている」と、自身の充実ぶりを強調した。

チームとしてのパフォーマンスについては、「前半は、なぜ我々がどのチームに対してもゴールを決められるのかを示し、後半は、なぜ我々がどのチームに対しても無失点を保てるかを示した」「消し去りたいネガティブな部分もあるけど、全体的には満足している」と語り、今後に向けて「このチームはまだ新しく、試合を重ねるごとに団結力を増している」と期待を寄せている。

母国サポーターが歌うビートルズの名曲『ヘイ・ジュード』が「大好きだ」という若きMFを、ガレス・サウスゲイト監督は「彼は自分で脚本を書く。幾度も傑出した場面を創出したし、走るタイミングやゴールに至るプレーも素晴らしかった」と評価し、チームの大黒柱であるFWハリー・ケインは「信じられない選手だ」と絶賛した。 母国メディアもこの試合のヒーローを大きく取り上げ、日刊紙『The Guardian』は「これまでイングランドに、ベリンガムのような天才がいただろうか」と題した記事において、「マドリーのスターは荒々しい闘牛士であり、その創造的な意志でチームメイトを鼓舞するオールラウンダーである」「最初の45分間、彼は基本的に全ての仕事をこなした」と称賛し、他にも以下のように綴っている。

「前半のベリンガムの活躍は、時に信じられないぐらいだった。まるで『ランボー』がプレーしているようであり、1966年イングランド・ワールドカップ決勝の延長戦におけるアラン・ボール、あるいは『スーパーハンズ(英国のコメディ番組で滅茶苦茶な行動をとるキャラクター)』のようでもあった。これほど支配的な選手がいたにもかかわらず、チームのリードが1点だけという危うい状況は、極めて稀なことだった」

「イングランドにこれまで、このような攻撃面で万能なだけでなく、創造力と自信を持った選手がいただろうか? 過去にも、素晴らしい若手選手はたくさんいた。2004年大会のウェイン・ルーニーの、何もかも思いのままにプレーする見事さに匹敵するものはなかった。ポール・ガスコインも全てを持っていたが、彼は自身のエネルギーを制御できなかった。そしてベリンガムは、生まれながらにして偉大な存在への道を歩んでいるようだ」
また『Sky Sports』は、「この試合のベリンガムは、他の選手よりも一歩抜きんでているように見えた」「彼はこの夜、間違いなく主役だった」「圧倒的」「背番号10のシャツに宿る力強さと優雅さは、そのポジションで最も完成された選手たちのそれと重なる」「ボールを扱う時の彼は品格を漂わせていた」「セルビアの選手は、正当な手段でも、ファウルでも彼を止められなかった」と多くの賛辞を贈った後、彼がイングランドを栄光に導く可能性についても言及した。

「チームや国全体に精神面の問題があるとしても、ベリンガムがそれに影響されることはない。所属するマドリーは他のクラブにはない持ち前の信念があるが、彼は同じ自信を、代表ユニホームを着てもなお有している。イングランドには改善が必要だが、もしそれができれば、彼らにはこの大会を自分のものにしようとしているベリンガムの存在が感じられるだろう」

構成●THE DIGEST編集部

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