過度な訓練が団員や家族の負担に・・・ 消防団員負担減へ見直し 来月5年ぶり島根県操法大会 1種目で隔年、会場固定

松江市消防操法大会で小型ポンプ操法に取り組む消防団員=松江市乃木福富町、県消防学校

 新型コロナウイルスの影響などで開催を取り止めていた島根県消防操法大会が7月、5年ぶりに開かれる。大会に向けた訓練が団員の負担になっているという声もあり、県消防協会は2024年度から、従来の毎年2種目から隔年1種目開催に緩和することにした。団員からは負担が減るとの評価と防災力低下を危惧する複雑な意見も上がる。

 種目は持ち運び可能な小型ポンプ、ポンプ車の部の2種類あり、消防用機械器具の操作の基本や技術を競う。県大会は毎年県内各地で持ち回り開催し、2種目を実施。隔年で開催する全国大会には都道府県ごとに定められた種目で優勝したチームが出場してきた。

 県消防協会は24年度から、隔年開催で1種目実施に変更。実施種目は全国大会の出場対象種目に合わせる。24年度は小型ポンプの部を実施。会場は県消防学校(松江市)に固定した。

 背景には、全国的に操法大会に向けた過度な訓練が団員や家族の負担になっているとの批判がある。日本消防協会は審査方法などを見直し、団員の動作をそろえるといった要素は対象外とするなど緩和した。

 こうした流れを受け、県消防協会は23年1月、分団長以上(482人)を対象にアンケートを実施。回答した336人の結果は、24年度以降の大会頻度を尋ねた設問で、隔年開催が68%、どちらでもよいが15%、毎年開催が13%だった。種目は隔年開催を求めた回答者の76%が全国大会出場種目のみでよいと回答。結果を受けて7月の団長会議で見直しを決めた。

 14年に1万2429人いた消防団員は23年に1万755人に減少しており、組織を維持するために団員の負担を減らすのが目的だ。県協会の松浦嘉昭会長は「操法は全ての基本で、消防団組織は地域になくてはならない存在だと自負している。アンケートを踏まえ、住民や団員の家族に理解いただける形にできた」と述べた。

 現役の40代団員は大会前の練習が減り「負担が減るのは間違いない」と評価。ただ「大会がなくなると訓練への意欲も落ちる。地域の防災力が維持されるだろうか」と懸念した。

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