国債減額、就職率98.1%、差別的MV…スイスのメディアが報じた日本のニュース

1942年10月12日、サン・サルバドール島に上陸したコロンブス一行。その後、島の原住民は死滅してしまった (KEYSTONE/AP Photo, HO)

スイスの主要報道機関が先週(6月10日〜16日)伝えた日本関連のニュースから、①日銀が国債買い入れを減額②新卒者の98.1%が就職③「差別的」MV削除、の3件を要約して紹介します。

日銀が国債買い入れを減額

日銀が14日開いた金融政策決定会合で、長期国債の買い入れを減額すると決定しました。スイスではドイツ語圏の金融メディア、フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトとfinanzen.chが報じました。

フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトは「日銀にとって、5兆ドル近いバランスシートの削減は金融政策の正常化における中心的な礎石」と位置付けました。減額自体は予想されていたことでしたが、詳細計画は7月の決定会合で決めるという点は「超緩和的な金融政策から非常にゆっくりと離脱する兆しと見る向きもある」。早急な利上げは見込んでいない、との市場関係者の見方を引用しました。

finanzen.chは金利据え置きを見出しにとり、「3月に開始された金融政策の正常化はさらに遅れることになる」と報じました。他の中央銀行に比べ利上げが遅れているのには「歴史的な理由がある」として、「長年にわたりデフレ傾向による低インフレに悩まされており、長期にわたって経済の重しとなっていた」と説明しました。(出典:フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトfinanz.ch/ドイツ語)

新卒者の98.1%が就職

文部科学省・厚生労働省が先月、2024年春に卒業した大学生の4月1日時点の就職率は98.1%と、1997年の調査開始以来で過去最高となったと発表しました。スイスの無料紙20min.イタリア語版はこれを「根強い人手不足の中で積極的に採用する企業が増えていることを浮き彫りにしている」と報じました。

新卒就職率はリーマン・ショック後の2011年に過去最低の91%を記録しましたが、その後上昇基調に。今年最高値を更新したことは「コロナ危機が雇用に与えた影響はほぼ消え去ったことを強調する」と指摘しました。(出典:ティチーノ・オンライン/イタリア語)

「差別的」MVを削除

3人組ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)」が12日夜に公開した新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)が大炎上。翌日に公開が停止されました。スイスでは20min.フランス語版が「日本のバンド、コロンブスと猿人のMVを謝罪」と報じました。

記事はバンドメンバーがコロンブスやナポレオン、ベートーベンに扮して、「猿のような人々が住む島を発見し、馬に乗ったり人力車を引くことを教える」とMVの内容を説明。動画内で奴隷制度や差別を思わせる表現があったことがソーシャルメディア上で大きく非難されたと伝えました。

「クリストファー・コロンブスが新大陸を『発見』した英雄だという歴史観は時代遅れだ」「世界史を勉強した人は本当に誰もいなかったのだろうか?」といった具体的な批判コメントも引用しました。(出典:20min./フランス語)

【スイスで報道されたその他のトピック】

話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスでマイホームが賃貸よりお得に」(記事/日本語)でした。他に「2024年6月9日スイス国民投票 2件の医療費抑止策は否決」(記事/日本語)、「ウクライナ平和サミット、出席者リスト発表」(記事/英語)も良く読まれました。

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次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は6月24日(月)に掲載予定です。

要約:ムートゥ朋子、校閲:大野瑠衣子

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