熊本市の飲酒運転死亡事故 直前に猛スピードでバックか 車走り去る映像

熊本市で飲酒運転の車に女性がはねられ死亡した事故で、逮捕・送検された男が運転していたとみられる車が事故現場に向けて猛スピードでバックで走り去る様子を防犯カメラが捉えていました。

【前田 美沙希 記者リポート】
「27歳の女性の尊い命が犠牲となった事故から今日で2日。現場には花や食べ物などが手向けられています」

事故が起きたのは15日、まだ辺りが真っ暗な午前4時すぎでした。

過失運転致死などの容疑で逮捕・送検された熊本市中央区島崎に住む無職、松本岳容疑者(23)が酒気を帯びた状態で軽自動車を運転。

中央区細工町の交差点で歩道に突っ込み、知人と歩いていた熊本市児童相談所の職員、横田 千尋さん(27)が車と信号機に挟まれ、その場で死亡しました。

【娘が横田さんの友人】
「飲酒運転は許せない。何でも話ができる相手だった(と聞いている)」

これまでの関係者への取材で、松本容疑者が運転していた車は交際相手のものだったことが分かっています。

こちらは、事故現場から約100メートル離れた道路沿いに設置された防犯カメラの映像です。

画面向かって左側が現場方向です。

松本容疑者が運転していたとみられる車が画面上で一度は左から右へと向かいますが…。

その50秒後、先ほど通った道を今度はバックで左へ。事故現場の方向へと向かったのです。

映像からはかなりのスピードが出ていたことが分かります。

衝撃音と悲鳴を聞いて外に飛び出し、女性を救助したという近所の人は当時の状況を次のように話します。

【近所の人】
「『とりあえずお願いします。車を動かしてください』というのが男が言った初めての言葉だった。『(酒を)飲んでる?』と聞いたら何も答えなかった」

熊本市の職員が亡くなったことを受け、17日、大西 一史市長が悲痛な胸の内を明かしました。

【熊本市 大西 一史 市長】
「去年、児童相談所の改革で意見交換をしたとき、彼女も出席して非常に活発にいろんな提案、前向きな改善のいろんな意見もくれた極めて優秀な職員でした。信じられない気持ちでいっぱい。飲酒運転の被害で命を落としてしまうあってはならないことで、強い憤りを覚える」

また、7年前、熊本市南区で飲酒運転の車にはねられ当時16歳だった最愛の娘を失った水田 貴弘さんはTKUの取材にコメントを寄せました。

水田 貴弘 さんは、「被害者と、そのご遺族のことを思うとさぞかし無念で胸が痛みます。いつまでたっても飲酒運転がなくならないのは、つらいです」と話しています。

警察は、危険運転致死の疑いも視野に飲酒の経緯などを慎重に捜査しています。

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