「小説家になろう」がサイバー攻撃の被害に 緊急メンテナンスで一部機能を停止

人気小説投稿サイトの「小説家になろう」が6月17日、攻撃的なアクセスを受けたことに伴い、緊急メンテナンスを実施すると発表した。

「小説家になろう」は6月14日から、サーバーの負荷向上を狙ったDDoS攻撃とみられるアクセスが断続的に発生していると報告。

一度復旧したものの、6月17日18時30分頃から再びDDoS攻撃が発生。

その影響で一部不安定となっているサーバーの状態を改善するため、同日21時15分から一部機能を停止する緊急メンテナンスを実施している(外部リンク)。

メンテナンス期間中、「小説家になろう」グループサイトのうち、データの入力・削除・更新を伴う全ての機能が利用できなくなる。

※6月17日22時追記:21時50分にメンテナンス完了。現在は復旧している。

Webサービスを攻撃する手法「DDoS」 他の小説投稿サイトも被害に

今回、被害が報告されたDDoS(Distributed Denial of Service attack)は、Webサービスを攻撃する手法の一つ。

複数の端末から対象のサービスに対して処理能力を超えるリクエストを送り、サーバーのダウンや接続障害を狙う。

似た手法に、単一の端末からサーバーの処理能力を超えるリクエストを送るDoS(Denial of Service attack)が存在する。

今回「小説家になろう」と時を同じくして、小説投稿サイト「ハーメルン」も、6月16日17時17分〜6月17日1時にかけて、DDoS攻撃の被害に。記事執筆現在、アクセスは復旧している。

また、ゲーム『ファイナルファンタジーXIV』の運営もDDoSによる被害を報告。6月14日の1時53分〜1時57分にかけて、攻撃によってネットワーク障害が発生したとしている(外部リンク)。

直近ではKADOKAWAへの攻撃も、ニコニコ動画はいまだ復旧せず

出版・文芸関連企業へのサイバー攻撃としては6月8日、KADOKAWAグループが攻撃を受けたと発表したばかり。

対応のためにサーバーがシャットダウンされたため、同グループが関わったTVアニメの公式サイトやニコニコ動画など関連サービスへのアクセスが断絶。6月17日現在、いまだにアクセスは復旧していない。

6月14日には、KADOKAWAのCEOをつとめる夏野剛さんが、YouTubeのニコニコ公式チャンネルに出演し経緯を説明。

コンピューターをロックしたり、データを暗号化し読み取れないようにしたうえで、元に戻すことと引き換えに金銭などを要求する「ランサムウェア」を含む大規模な攻撃を受けたと報告した。

KADOKAWAの社内システムについては、段階的に復帰させていき、6月末を目処に安全なサーバーの構築と基幹システムの復旧を目指して対応。

ニコニコ動画については、既存の環境下ではシステムの再構築ができないため、安全な環境の用意から始める必要があると説明。正確な復旧時期は未定であるものの、作業には1ヶ月以上が必要だとしている。

KADOKAWA系列の小説サイト「カクヨム」にも障害発生

「小説家になろう」「ハーメルン」がDDoSの被害を報告したのと同時期に、KADOKAWAが運営する小説投稿サイト「カクヨム」にもアクセス障害が発生している。

「カクヨム」の公式Xは、6月16日16時30分時点でサイトが一時的に繋がりにくくなっている旨を報告。

以降、18時にも再度サイトへ繋がりにくくなっていることが報告された。

こちらは、アクセス障害の原因がDDoSなどの第三者からの攻撃であるかは明言されていない。

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