青森県、不妊治療の自己負担分を全額助成 7月から 全国初の上限なし

 青森県は17日、県内に住む人を対象に不妊治療費の助成を7月1日に始めると発表した。体外受精など、公的医療保険が適用される「生殖補助医療」の自己負担分(原則3割)を全額補助する。子どもを望む世代を支援するとともに、少子化が進む中、出生数を増やすのが狙い。県によると、自己負担分を上限なしで全額補助するのは全国初。

 女性が43歳未満の場合に適用する。採卵・採精、体外受精や顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植-の一連の治療が対象となる。国の保険と同じく適用は、子ども1人につき40歳未満は6回まで、40歳以上43歳未満は3回までとする。7月より前に始めた治療は対象外。

 県は、採卵から胚移植までの一連の診療にかかる負担額を10~15万円程度と想定。年度内に約2千組の利用を見込み、本年度当初予算で2億471万円の事業費を確保した。

 県内で生殖補助医療に取り組んでいる医療機関は「エフ.クリニック」(青森市)、「レディスクリニック・セントセシリア」(同)、弘前大学医学部付属病院(弘前市)、「婦人科さかもとともみクリニック」(同)、「八戸クリニック」(八戸市)の5カ所。このほか県外の医療機関で治療を受ける場合も対象となる。

 県は7月1日に「不妊治療費助成事務センター」を開設し、申請や審査、支払いなどの手続きに一元的に対応する。

 県は、女性一人が生涯で得る子どもの推定人数・合計特殊出生率が「2」以上となる道筋を付けることを政策に掲げている。

 宮下宗一郎知事は取材に「子どもを授かりたいのに金銭的な負担で授かれない環境は理不尽と思い、特に負担の大きい生殖補助医療の無償化に踏み切った」と話した。「この取り組みで新しい命がたくさん生まれることを期待している。子どもを産むことに対するあらゆるハードルを下げていきたい」とも語った。

 同センターへの問い合わせは7月1日以降、電話0120-012271へ。ホームページも開設する。

© 株式会社東奥日報社