東京再発見 第23章 都県境の花畑~足立区鹿浜・都市農業公園 

河川が作り上げる「境」

都道府県や市町村の境は、「川」であることが少なくない。

都県境が曲がっている証(グーグルマップより)

かつては、橋梁が無い場所でも、小舟の渡しがあったりする。生活圏を異にすることによって、境はできあがる。

さて、東京都と埼玉県との境には、荒川が流れている。しかし、その一部は飛び地のようになった場所もある。それは、蛇行を繰り返していた証なのだ。東京都足立区と埼玉県川口市との境は、そのほとんどが新芝川と毛長川という二つの川だ。しかし、新芝川が荒川に合流する辺りは、不思議なほどに曲がりくねっている。

学ぶ、遊ぶ、生きる

都市農業公園(全体図)HPより

その角地に、足立区立都市農業公園という「かつての東京郊外における農業事情」を再現した公園がある。

ここは「自然に学ぶ、自然と遊ぶ、自然と共に生きる」がテーマ。園内の田んぼや畑では自然の仕組みを活かした無農薬無化学肥料での栽培を行っている。この農作物は、東京都が定める「エコ農産物認証制度(エコ100)」を取得してもの。そして、自然教育普及やプログラム実施し、収穫物の園内マルシェで販売している。

都県境を俯瞰する
右下に岩淵水門、左に都市農業公園

また、自然解説員を園内各施設(ビジターセンター、人と自然の共生館、工房棟)に配置し、農業に触れ合う体験ができるようにしている。

都市農業公園HP

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春は五色桜や河川敷のチューリップ、秋にはコスモス、冬には梅と、四季折々の花を楽しむことができる。

他方、農業に触れるだけでなく、園内には、多数の桜に囲まれた芝生広場や、足立のかつての「農」の風景を思い起こさせる水田、畑、古民家、大きな滑り台がある遊具広場、体験施設の人と自然の共生館、工房棟など多岐にわたる施設もある。

緑の宝庫、東京探しを!

大都市となった東京には、緑が少ないと思われがちである。

しかし、都心には数多くの大名庭園が残され、今や都立公園となっている。また、東京の周辺部には、震災時の避難用の大きな公園も作られている。そして、この都市農業公園のように、かつての田舎の風景を彷彿させるものも少なくないのだ。

脱・コンクリートジャングル、たまには緑に触れることも大切なこと。次の休日には、是非!

(これまでの特集記事は、こちらから)

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

遠くスカイツリーも見える河川敷

秋空にピンクが映える

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