金沢城、被災石垣に学ぶ 全国の文化財担当者 奈良文化財研究所が研修

地震で変形した石垣を視察する文化財担当者=金沢城公園

 石垣をテーマとした奈良文化財研究所(奈文研)の文化財担当者研修が17日、金沢城公園で初めて開かれた。全国の自治体から訪れた参加者が能登半島地震で被災した石垣などを視察し、「石垣の博物館」と呼ばれる金沢城を手本に解体修理の進め方、被災時の初期対応などを学んだ。

 研修は熊本城復旧工事などを経て進展した石垣修復の技術を共有しようと奈文研が企画。県金沢城調査研究所が協力し、彦根城、甲府城、福岡城など10自治体の担当者が参加した。

 一行は冨田和気夫所長の案内で、土橋門や解体修理が検討される玉泉院丸庭園の石垣など、地震や土圧、樹木の生育などでひずみや崩落が起きた箇所を見て回った。岡山県津山市の宮﨑絢子主任は「津山城の石垣修理を控え、調査の方法、進め方の参考になった」と振り返った。

 元日の地震で、金沢城公園では石垣28カ所が損傷、うち5カ所で崩落が起きた。石川県は崩落箇所から作業を始める予定で、夏をめどに崩れた石を回収し、文化財調査のための足場を設ける計画だ。復旧には15年程度かかるとみられている。

 冨田所長は「被災状況、修復の過程を含め、金沢城の成果や事例が全国に広がればいい」と話した。18日も実習が行われる。

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