日本で住宅物件購入の中国人が激増、でも住むのでないなら考えもの―香港メディア

日本で住宅物件を購入する、あるいは購入を希望する中国人が激増している。しかし、利益が目的の投資目的の購入は、決して勧められないという。

日本で住宅物件を購入する、あるいは購入を希望する中国人が激増している。背景には、中国での不動産価格が極めて高く、北京や上海、深センでマンションを購入できる価格で、東京でも同等の物件をいくつも購入できることや、日本における不動産価格の値上がり期待、さらに円安などがあるという。しかし実際には、日本で生活して実際に住むならともかく、利益を出す目的で物件を購入しても、なかなか思うようにはいかないという。香港メディアの香港01が伝えた。

胡宸さん夫妻は3月末に、大阪市内にあるマンションに越してきた。購入を決めたのは2022年末で、当時の価格は人民元でおおむね250万元相当(約5400万円)だったという。胡さんの知り合いの多くは、過去2年間の間に日本で不動産物件を購入した。中には一獲千金を狙って建物1棟を丸ごと買って「売り逃げ」の時期を見計らっている人もいるという。

今年の東京の不動産市場では、外国人購入者の8割が中国人だった。また、東京の住宅価格は過去3年間で2倍以上に跳ね上がったとする統計もあるという。しかし、日本での住宅投資はそれほど簡単ではない。

まず、中国人が日本での不動産物件の購入に興味を持つ要因には、日本での不動産価格の上昇が本格化していると思えることや、円安であること以外にも、住宅ローンの金利が低いことがある。

中国での現在の住宅ローンの金利は一般的に3%から4%程度だ。胡さんは大阪でマンションを購入する際にローンを利用したが、20%の頭金を払わねばならなかったものの、金利はわずか0.27%だった。胡さん夫婦はいずれも会社員で、一定期間に渡り納税もしてきたので、日本の銀行から「安定が保障されている」と評価されたという。

胡さんによると、現在の家に越す前には賃貸住宅に住んでいたが、40平方メートルと小さな住宅であるにもかかわらず、1カ月の家賃は5500元相当(約12万円)と、現在の月々のローン返済金よりかなり高価だった。胡さんはさらに、現在のマンションの購入に際して、契約上の面積は75平方メートルだったが、実際に使える面積は90平方メートル近くになると説明した。

これは日本の不動産契約の方式では、所有権を有する「占有部分」だけが売買されることになるためだ。「占有部分」とは、居住する室内部分と考えればよい。しかし、実際には居住部分に付属するベランダなどは、購入者が排他的に専用できることになる。

胡さんによると、借家の場合には雑多なことに直面することも多く、費用も高いために、日本である程度以上の期間にわたって仕事をしている中国時の知人は、ほとんどが住居を購入したという。

一方で、日本には住んでいなくても日本の住宅物件を購入したり、購入を目指す中国人が大いに増えた。しかも、北京や上海など不動産価格が特別に高い地位に住む人だけでなく、蘇州や南京など、地方都市の中国人も日本での物件購入を目指すことが増えた。ただし、中国では比較的多い「物件を購入して賃貸に出す」という方法で、日本で利益を出すことは難しい。

まず、物件の所有者は固定資産税を払わねばならない。また、室内のさまざまな備品、例えば便器が壊れた際に、貸した相手に確実な落ち度がなければ、修繕費用は大家側の負担になると考えねばならない。胡さんは、「賃貸住宅によって(経営して)大金を稼ごうとすることは、ほとんど不可能です」と説明した。

また、売却しようとしても、取り引きに関連する高額の税を課せられる。また、日本では住宅の借り手側の権利が手厚く保護されているので、例えば購入を考える人に室内を見せようとしても、居住者の同意なしには実施できない。また、日本では中古物件の価格が大きく下落するので、売却で利益を出すのは極めて困難だ。

そこで、民泊として使うことに人気が出ているが、所有する物件を民泊として利用することには大きな制約がある。例えばマンションタイプの住居の場合には、管理組合の規則で禁止されていたり、管理組合の許可を必要とする場合が多い。この場合の民泊利用の許可を得ることは、極めて難しい。そこで、民泊として利用するならば、一戸建ての住宅を購入するしかないことになる。

しかし、日本の行政は、民泊の開業については規制を緩和しているが、今度は宿泊客側の要求が高くなっている問題がある。数年前までは、簡単な内装を施すだけで、日本の雰囲気を味わえるとして民泊を利用する人が多かった。しかし現在では、部屋の内装などをさらにきちんと整える必要があり、好立地でないと客集めは難しく、好立地であってもサービスが悪いと客を安定して呼び込むのは難しいという。

また、2024年には、日本国内に住所がない外国人が日本国内の不動産を購入する場合には、日本国内の連絡先などを登記せねばならない規則が施行された。外国人投資家にとっての新たなハードルが設けられたことになる。

記事は最後の部分で、自宅用に利用する場合は別にして、日本で住宅物件を買うことは「ちゅうちょすべき」と主張した。(翻訳・編集/如月隼人)

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