関東整備局利根川水系砂防/振子沢砂防堰堤竣工式開く/小渕優子衆院議員らくす玉開披

国内屈指の温泉地・草津温泉(群馬県草津町)を見下ろす草津白根山で突然水蒸気爆発が発生したのは2018年1月。噴火を受け、下流の振子沢に関東地方整備局利根川水系砂防事務所が整備を進めていた「振子沢砂防堰堤」が完成し、15日に竣工式典が開かれた。蒲原潤一国土交通省水管理・国土保全局砂防部保全課長や藤巻浩之関東整備局長に加え、小渕優子衆院議員、黒岩信忠草津町長ら関係者約100人が出席。くす玉開披などで無事完成を祝った。
振子沢堰堤は幅168メートル、堰堤高14・5メートルの鋼製スリット堰堤。噴火時の火山泥流などから市街地を守る目的で、草津温泉街から約3キロ上流に建設された。19年4月に着工し、今年3月に完成。一部に国土強靱化予算を活用し、冬季の施工不能期間を挟みながらも約5年という短期で完成にこぎ着けた。
施工に当たっては温泉地帯のため耐酸性が求められ、コンクリート表面の樹脂製被覆や鋼製スリット足元のゴム製保護などを追加した。設計は中央コンサルタンツ。施工は佐田建設と前橋地建が担当した。
式典で蒲原課長は「最優先で工期を短縮し、早期整備を図ってきた。貴重な観光資源である町営スキー場の土地を提供いただいた」と草津町など地元関係者に感謝の意を示した。
小渕議員は「式典後はぜひ直接堰堤を見て事業の機能、効果を知ってもらい、日頃からの防災意識につなげてほしい」と話した。黒岩町長は噴火当時を振り返りつつ「私たちの町は観光地。何よりも大切なのは安全安心だ」と強調。その上で「われわれは火山とともに生きる町。本白根山は(噴火もあるが)温泉が湧き出すある意味宝の山だ。山と共生するためにもこの砂防堰堤の整備をお願いした」と迅速な整備に改めて謝意を表明した。

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