Netflixにも登場『アオハライド』だけじゃない! “主人公の初恋”にドキドキを味わえる『別マ』作品

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見る者を甘酸っぱい気持ちにさせてくれる「少女漫画」。さまざまなシチュエーションがあるが、とくに主人公の“初恋”をテーマに描かれた作品はいつ見てもキュンとした気持ちを味わわせてくれる。

最近では、2023年、2024年と2部作にわたってWOWOW「連続ドラマW-30」で実写ドラマ化された『アオハライド』でも、主人公の初恋模様が描かれていた。咲坂伊緒さん原作の本作は、2011年から『別冊マーガレット』(集英社)で連載され、“王道”の青春ラブストーリーとして人気を博した。

そこで今回は『別マ』作品のなかから、主人公の初恋が描かれた実写化作品をご紹介したい。

■クラスの人気者! 爽やかイケメンとの初恋『君に届け』

まずは、椎名軽穂さん原作の『君に届け』から。主人公は、黒いロングヘアと青白い肌が特徴的な女子高生の黒沼爽子。映画『リング』シリーズのホラーキャラクター・貞子のような見た目をしており、周囲からも「貞子」と呼ばれ怖がられていた。

爽子は見た目に反して性格は前向き、“超”がつくほど純粋な少女だ。彼女の魅力は内面にあるが、その外見からなかなか友人ができずにいた。だが、そんな爽子に分け隔てなく接してくれたのが、クラスメイトの風早翔太だ。

風早はイケメンなだけでなく、困っている人やクラスで浮いている子を放っておけない性格で、常にクラスの中心人物である。そんな風早の人柄に憧れていた爽子だが、少しずつ憧れという感情から恋心へとシフトしていくのだ。

しかし実は、風早自身も入学当初から彼女に興味を持っていた。2人が徐々に惹かれ合っていく様子は本作の一番の見どころで、胸キュンシーンが盛りだくさんだ。

本作はその人気から、アニメ化や実写映画化がされており、近年では2023年3月に『Netflix』で実写ドラマ化された。若手の注目株である南沙良さんと鈴鹿央士さんが主演をつとめており、じっくりと時間をかけて描かれた原作の再現シーンに注目が集まった。

恋愛とはほど遠い場所にいた爽子だが、風早と出会ったことで高校時代というある意味青春の頂点を謳歌し、大人への階段をのぼっていく……。爽子のまっすぐで純粋な恋模様は読んでいるこちらも前向きな気持ちにさせてくれ、爽やかな後味が残る名作だ。

■学年一の人気者と初恋! 自分にしか見せない姿にキュン『ストロボ・エッジ』

咲坂伊緒さん原作の『ストロボ・エッジ』は、“学年一のイケメン男子との初恋”という誰もが一度は夢見るシチュエーションが描かれている。

主人公の木下仁菜子は、クラスメイトの是永大樹から想いを寄せられていた。友人たちからの後押しもあり、大樹への気持ちが「恋」なのだと思っていた仁菜子。しかし、ひょんなことから学年一のイケメン・一ノ瀬蓮と接点ができ、クールな蓮の意外な素顔を目にしてしまう。

気づけば蓮を目で追ってしまうようになった仁菜子は、今まで感じたことのない感情に戸惑う。本作では仁菜子が蓮への恋心を自覚するまでの描写が丁寧に描かれており、まるで自分が恋に落ちたかのような感覚になってしまう。

キラキラと眩しい青春の1ページを切り取ったようなシーンも多く、蓮のような大人びたクールな男子が自分にだけ素直な顔を見せてくれたら……そんな想像をすると胸キュンがとまらない。

本作は2015年に実写映画化されている。福士蒼汰さんと有村架純さんがW主演をつとめ、ロングヘアの印象が強い有村さんのボブ姿が「かわいすぎる」と話題になった。また、ファン人気が高いキャラクターの安堂拓海役には山田裕貴さんが起用されており、今考えると豪華すぎる布陣に驚かされてしまう。

■パワフル女子の一直線ラブ!『高校デビュー』

河原和音さん原作の『高校デビュー』は、中学まで部活一筋だった主人公・長嶋晴菜の猪突猛進な初恋を描いた物語だ。中学時代は部活一色で、恋愛とは無縁の生活を送ってきた晴菜。しかし彼女は決して恋愛に興味がなかったわけではなく、少女漫画を読みふけり、恋への憧れをつのらせていた。

そしていよいよ、待望の高校生活がはじまった。彼氏を作ろうと躍起になる晴菜だが、彼女の作戦は空回りばかり……。そんな彼女が出会ったのが、“モテ”を具現化したような人物・小宮山ヨウだった。晴菜はヨウに「モテコーチ」を頼み、2人の距離は少しずつ変化していく。

本作の見どころは、モテコーチを引き受けるかわりに、ヨウから「自分に惚れないこと」を条件として出されているところだろう。“好きになってはいけない相手”とわかっていながら惹かれてしまう晴菜に、読んでいるこちらもドキドキさせられるのだ。何事にも一生懸命で真っ直ぐな晴菜の告白シーンは心に響く名シーンなので、ぜひ本編で見てみてほしい。

そんな本作は2011年に実写映画化されている。ヨウ役は溝端淳平さん、晴菜役はモデルとして活動していた大野いとさんが起用された。そしてこの作品には、若き日の菅田将暉さんがヨウの友人である田村史也役で出演している。

今や確かな演技力で数々の主演を射止めている菅田さんだが、今考えると珍しい(!?)“天然ボケキャラ”を見ることができる貴重な作品となっている。

魅力的なキャラクターたちが織りなす、キラキラとした青春を描いた『別マ』作品たち。丁寧に描かれる主人公の心情に感情移入して、まるで自分が恋に落ちたかのような感覚さえ覚えてしまう。

作品を読むと、何度も初恋を味わえるのも、少女漫画のいいところだろう。ぜひこの機会に作品を見返し、初恋の甘酸っぱさを堪能してみてはいかがだろうか。

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