福山雅治、ゆず、Mr.Children、B'z……大規模会場のこけら落とし公演 新たなランドマークの誕生を華々しく祝う

コロナ禍の大きな山を越え、日本の音楽シーンは、大規模会場のオープニングイベントで賑わいを見せている。これまでにもゆず、B'zといったトップアーティストたちが、全国各地の新設会場で最初のステージを飾る「こけら落とし公演」を行ってきたが、今年だけでも千葉でMr.Childrenが、長崎では福山雅治がこけら落とし公演を行うことを発表している。今回は、これらのアーティストたちによる大規模会場のこけら落とし公演のトピックをまとめていく。

まずは、今年の10月に控えた福山雅治の長崎スタジアムシティでのこけら落とし公演について紹介したい。福山はこれまでにも自身の出身地である長崎県 稲佐山公園でのライブを定期的に行っており、ファンにとっても長崎は大きな意味を持つ場所となっている。そんな福山が今年オープンする長崎スタジアムシティのこけら落としとして約2万5千人規模のフリーライブ『Great Freedom』を行うことを発表した。福山は、このフリーライブを通して、「こんなことが出来るんだ!不可能はないんだ!」という自由な風を届けたいとコメントしている。今回、すでに収容人数を遥かに超える約16万人(6月13日時点)におよぶ参加応募があったことから、多くのファンがこの特別な瞬間を楽しみにしていることを感じとることができる。福山の音楽活動はもちろん、地域社会への貢献や地元愛の強さが感じられるこのイベントは、長崎の新しいランドマークの誕生を華々しく祝うものとなるであろう。

福山による長崎スタジアムシティのこけら落としのように、アーティスト自身とゆかりの深い場所で公演を行ってきたのが、横浜を代表するアーティストのゆずだ。デビュー前にストリートライブを頻繁に行ってきた場所ということから、横浜の中でも特に桜木町周辺のイメージが強い彼ら。そんな聖地 桜木町からほど近いみなとみらい地区に相次いでオープンしたぴあアリーナMM、Kアリーナ横浜、横浜BUNTAI(旧・横浜文化体育館)のこけら落とし公演を担当したのがゆずである。コロナ禍ど真ん中の2020年にオープンしたぴあアリーナMM。予定されていたゆずのこけら落とし公演もコロナ禍の煽りを受けて中止を余儀なくされ、後日無観客のぴあアリーナMMで収録された「栄光の架橋」のライブ動画が公開される異例のこけら落としとなった。そしてのちに2022年になり、やっと有観客でのライブが開催できるようになった折、ゆずが久しぶりの有観客でのライブステージに選んだのが、ぴあアリーナMMだった。そして2023年にオープンしたのが、同じみなとみらい地区に位置するKアリーナ横浜である。『YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama』と銘打って3Daysで予定されていたこのこけら落とし公演のチケットは全日ソールドアウトの大盛況。この大きな反響を受け、約1カ月半後に同所でアンコール公演を2Days追加で開催する、これまた異例のこけら落とし公演となった。

ぴあアリーナMMやKアリーナ横浜がオープンするまで、横浜でアリーナクラスのライブ会場としての役割を一手に担ってきたのが横浜アリーナである。1989年にオープンし、今年で35周年を迎えた横浜アリーナ。横浜市の成人式の会場としても知られるこのホールで初めて音楽ライブを開催したのは、松任谷由実だ。当初、横浜出身の大スター 美空ひばりがオープニング公演を担当することになっていたが、彼女の病状悪化により急遽代打として松任谷に白羽の矢が立った。1988年11月からスタートしたライブツアー『MITSUBISHI MIRAGE PRESENTS “Delight Slight Light KISS”』の追加公演として『KIRIN & MITSUBISHI MIRAGE PRESENTS “Delight Slight Light KISS” 横浜アリーナ オープニングコンサート』と題した合計4公演のこけら落とし公演が1989年春に開催されることになったのだ。その後、2019年には横浜アリーナ30周年スペシャルイベントの一環として松任谷のライブが開催されるなど、横浜アリーナと松任谷は今でも強い絆で結ばれている。

これまでに挙げた福山やゆず、松任谷の他にも、長年アリーナクラスの会場でライブを続けてきたアーティストによる、新たなアリーナ施設のこけら落とし公演が話題を呼んでいる。千葉県のLaLa arena TOKYO-BAYは、今年の7月からMr.Childrenが11都市をまわる『Mr.Children tour 2024 miss you arena tour』の初日公演がこけら落としとなる。ツアーの開幕と新アリーナの完成を同時に祝う、祝祭感あふれるライブになりそうだ。

そして、昨年5月にオープンした佐賀県のSAGAアリーナの最初の音楽イベントとしてライブを行ったのはB'zである。九州最大級の観客席を持つこの会場。B'zの35周年のツアー『LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』の初日ということもあり、ヒット曲満載のセットリストでSAGAアリーナの始まりに花を添えた。B'zは他にも、1997年にはバンテリンドーム ナゴヤ(旧・ナゴヤドーム)、2013年にはEX THEATER ROPPONGIで各会場のこけら落とし公演を行っている。ライブハウスやホール規模のEX THEATER ROPPONGIから、多目的アリーナのSAGAアリーナ、そして巨大球場のバンテリンドーム ナゴヤまで幅広い種類の会場でライブができるアーティストは、B'zの他にあまりいないだろう。

このように、数多くのアーティストが新しい会場のこけら落とし公演を通じて、地域やファンに音楽を届けてきた。福山雅治、ゆず、松任谷由実、Mr.Children、B'zといったトップアーティストたちが、音楽の力で街の新たなランドマークとなる会場の完成を祝福することは、その会場がこれから生み出すであろう多くの思い出や感動の瞬間の幕開けとして何年経っても語り継がれる特別な出来事だ。首都圏を中心にライブ会場不足の声が聞かれる中、これらのこけら落とし公演の話題は、今後の日本における音楽業界にとっても朗報でもある。この先に控える寿ぐべきライブの開催と、新しい会場のオープンを盛大に祝福したい。

(文=Z11)

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