3兄弟育てる母のノックが「上手すぎ!」 400万再生の反響…超多忙も幸せな“野球漬け日常”

辰巳静梨果さんと3人の息子たち【写真:本人提供】

「息子たちの夢を全力で応援したい」…成長をSNSに投稿し続ける深い理由

左手にグラブ、右手にはバット。小気味よいテンポで3兄弟に連続ノックする女性の動画が注目されている。インスタグラムで再生回数400万回以上と大バズリしている動画の主は、愛知県で3人の息子を育てる辰巳静梨果(たつみ・せりか)さんだ。愛息たちとの“野球漬け”の日常を公開する思いとは? 元ソフトボール選手の経歴を活かした上達法とは? 静梨果さんに話を聞いた。

愛知で3兄弟の野球少年を育てる静梨果さんは、中学・高校とソフトボール選手として青春を過ごしたのち、少年野球経験者で駅伝選手だった夫と就職先で出会い、3人の子宝に恵まれた。野球グッズがあふれているという辰巳家では、息子たちが野球を始めるのは自然の流れだったという。

熟考派な小5の長男・輝竜(きりゅう)くん、負けん気の強い小3の次男・輝真(てるま)くん、そしてひょうきんな小1の3男・輝一郎(きいちろう)くん。3兄弟が目指すのは、いずれもプロ野球選手だ。将来は、「愛知の(中学硬式の)名門・名港ボーイズを経て、愛工大名電高校で甲子園に出場し、意中のプロ球団で活躍する」という明確なビジョンを持っている。

「親として今、その夢を全力で応援したい――」。長男が小1のとき、少年野球チームへの入団を機に静梨果さんは決意した。

「SNSに投稿を始めたのは約2年前(2022年4月)です。きっかけは、子どもの成長を動画で残しておきたいと思ったから。スマホの中だけではデータが埋もれたり消えてしまったりすることもあるので、いつでも見られるようにと上げたところ、気づいたらたくさんの人に見てもらっていましたね(笑)」

いずれの動画も3兄弟の毎日の練習風景を中心に撮影されたもの。「ママさんが上手すぎ」「お子さん3人も動きに無駄がない」「将来が楽しみ」などの絶賛のコメントがあふれている。そこには苦しさやスパルタといった世界が一切感じられないところも、多くの人に支持されている理由だろう。

明確な目標を持つ子どもたち。写真は長男・輝竜くん【写真:辰巳静梨果さん提供】

雨ニモ負ケズ。「練習はほぼ毎日。基礎練習こそ大事がモットーです」

そんな静梨果さんの毎日は、超多忙だ。

平日は朝9時から夕方4時頃まで立ち仕事をこなし、帰宅後すぐに夕食づくり。そして、6時になると子どもたちと近所の公園に自主練習へ行く。

「夕食を作ってから家を出たいんですが、待ち切れない息子たちから『早く!』とせがまれるので、調理途中で出かけることもしょっちゅうです。普段からおかずの作り置きをするなど、できるだけ練習に時間を割くよう工夫をしています」

“基礎こそ大事”というモットーの辰巳家の練習は、距離を延ばしながらのキャッチボールからスタートし、ゴロ捕球で足の運びなどをチェック。そして冒頭の動画にもある連続ノックを30分以上かけて3兄弟に行ったのち、自宅に戻って各自がティーバッティングに励むまでが、基本ルーティンだ。

「雨だって野球はやるよね?」と兄弟の誰からともなく発せられたひと言から、よほどの悪天候でなければ中止はしない。「気づけばあっという間」だそうだが、練習はほぼ毎日2時間、どっぷり野球漬けの日々を親子で心から楽しんでいる。その原動力はどこにあるのだろうか。

「子どもの成長って、あっという間。絶対に後悔したくないので、今しか関われない息子たちとの時間をできるだけ一緒に過ごしたいんです」

その思いの裏には、不慮の事故で父親を亡くした自身の経験も少なからず影響しているという。「いろんな思い出を父と残したいと思っていたら、ある日突然できなくなってしまった。息子たちとは母として今しかできないことをしっかり記憶や記録に残していきたい」と教えてくれた。

動画を見た人からの反応は上々で、野球関係者との横のつながりが広がっただけでなく、3兄弟にも変化が生まれた。客観的に自身の姿をとらえるようになり、SNSにアップされても恥ずかしくないよう、練習にもより気合が入るようになったという。

デジタルを駆使しながら、どこか昭和を感じさせる肝っ玉マインドで我が子を全力で応援する、そんな母の背中から3兄弟が学ぶものは、きっと多い。(吉田三鈴 / Misuzu Yoshida)

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