オイル添加剤で燃費向上? メリットとリスクを徹底検証~カスタムHOW TO~

オイル添加剤で燃費向上? メリットとリスクを徹底検証~カスタムHOW TO~

手軽なチューニングのひとつであるのがオイル添加剤を入れること。エンジンオイルにプラスすることでフィーリングが良くなったり、燃費が良くなったりする効果があるという。昔からオイル添加剤については賛否が問われてきた。

ついに アバルトがガソリン車の生産終了---日本向け『F595』と『695』

◆賛否、なんとも言えない

やはり入れると効果があるという意見もあるし、オイルには十分にさまざまな成分が入っているので不要という意見もある。その結論をここで語るとすれば、「なんとも言えない」となる。そんなものは読みたい結論ではないのは当然のことだが、そうとしか言えないのだ。なぜならそれはオイル自体の種類が星の数ほどあるから。

たとえば、二硫化モリブデンをオイルに足すとフリクションが抑えられ、フィーリングが良くなるという意見がある。これは実際体験したことがあるが、一定の効果は感じられる。しかし、そもそも二硫化モリブデンが十分配合されているオイルに同じ成分を足しても効果は薄い。入れれば入れるほど効くわけではない。

だが、二硫化モリブデンが配合されていないオイルに入れたら一定の効果を感じられるだろう。どのようなオイルの成分で、それになにを足すかによって効果の有無も安全性も変わってしまうので、一概に効果があるとかないとか、良いとか悪いとか答えられないのである。

◆混ぜるな、危険

あるオイルメーカーの成分を決めるブレンダーは「若かりし頃、自分のマイカーにいろいろな成分をブレンドして入れていました。これとこれと入れたらもっとよくなるんじゃないかと。ある日、もっとよくなるんじゃないかとアレとコレを混ぜたら、相性の悪い成分でオイルがゲル状になってしまって、オイルパンで固まってしまいエンジンブローしました」という。オイルによって成分が異なるので、良かれと思った成分同士がケンカをしてしまい、悪影響をもたらすこともありえるのだ。

添加剤メーカーも市販オイルとの相性は確認しているが、星の数ほどあるオイルのすべてを網羅しているとは思えない。となると、やはりどんな影響があるのかは未知数な部分があるのである。では、どうすればいいのか。方法は2つ。ひとつはオイルメーカーが出しているオイル添加剤を、そのメーカーのオイルとともに使うこと。もうひとつはプロショップの実績から導いて貰う方法だ。

◆オイルメーカーが出している添加剤を、そのメーカーのオイルと使う

オイルメーカーによっては添加剤をリリースしている場合がある。たとえばMoty'sの場合は、清浄分散剤を配合し、エンジン内部の汚れを綺麗にして出力を回復させる目的のエンジンオイル添加剤をラインアップ。もちろん、同社のオイルとのマッチングは確認されているわけで、セットで使用すれば安心なわけである。

OMEGA OILの場合は、エンジンオイルの性能を底上げする目的の添加剤と、摩擦を低減してエンジンレスポンスを高める目的の添加剤が用意されている。さらにオイルフラッシング用の添加剤と、オイル漏れを止める目的の添加剤もラインアップされている。

◆プロショップはどういった症状の時にどんな添加剤が効くか把握

このようにオイルメーカーが出している添加剤とそのメーカーのオイルを使えばマッチングに不安はない。または、プロショップにてこれまでテストしてきた組み合わせを指南してもらうかだ。

プロショップではオイルと相性の良い添加剤をテストして使っている場合がある。これまで問題が起きていないことや効果を確認しているわけで、リスクは極めて低い。特にプロショップではどういった症状の時にどんな添加剤が効くかを把握していることが多い。オイルが減りやすいならこういう添加剤。エンジンがお疲れ気味ならコレ。買ってきた中古車のエンジン内部が汚れているならコレ、といった具合だ。

◆ワンミスでエンジンブローも

エンジンオイルはもっとも交換頻度の高い消耗品。そこでいろいろ試してみたくなるものだが、ワンミスでエンジンブローにも直結するシビアな部分である。

とくに最近のダウンサイジングターボエンジンでは、これまでのオイルに含まれていたカルシウムがノッキング(LSPI)の原因になることから、規格に適合したオイルの使用が定められている。さらにタイミングチェーンが伸びにくい成分のオイルを使うことも定められている。

良かれと思って過去使って良かったオイルを入れても、現代のクルマとは相性がよくないもともありえる。そういったリスクもあるので、オイル選びや添加剤選びはプロの意見を聞いたうえで決めるようにしてもらいたい。

© 株式会社イード