広島商 堅実野球でノーシードから夏切符狙う! 140キロ右腕・西川&攻守の要・米田の強力バッテリーが伝統校引っ張る

 チームを引っ張る米田

 「第106回全国高校野球選手権広島大会」が7月6日、マツダスタジアムで開幕する(決勝戦は同27日に同球場)。組み合わせ抽選会は6月21日。広島商はエース・西川雄也投手(3年)と米田歩生捕手(3年)を中心とした堅実な野球が武器だ。ノーシードから2019年以来の夏甲子園を狙う。

 昨秋の広島大会は初戦で尾道に4-5、今春は2回戦で崇徳に3-4で敗れ、早々に姿を消した。荒谷忠勝監督(47)は「それを糧にしてというのは、選手たちが一番思っていると思います」と話す。

 指揮官が信頼を寄せるのが米田だ。昨年からレギュラーとして、試合に出場。新チームになってからも主軸として期待されていたが、ここぞの場面で一本が出ない勝負弱さがあった。昨秋と今春の敗戦を「僕が打てなかったので負けたと思う」と背負い込む。

 チームを救う一本を打つために、練習から心持ちを変えた。「得点圏を迎えると余計な力が入ってしまう。練習から状況を想定して、頭を常に整理出来るように意識している」。集中しすぎるのではなく、俯瞰(ふかん)的に見て最適解を探るようにしている。

 そしてチームの軸がもう1人。エース・西川だ。米田と同様に昨夏を経験している右腕。最速140キロの直球と多彩な変化球を、制球良く投げることが出来る実戦向きの選手だ。

 昨年の10月に右肘のクリーニング手術を受けた。「迷いはあった」と明かすも「後悔はない」と言い切る。「不安を抱えたまま投げて言い訳はしたくなかった」。すでに患部の状態は完治しており「夏の大会は全試合を投げ抜くぐらいの気持ちで」と気合十分だ。

 チームとして、公式戦の経験は少ないが主将の坂本麻波斗内野手(3年)は「秋、春と早く負けたことを強みにしようと。油断や過信が全くないが今のチーム」と力強く言った。ノーシードからの逆襲へ。5年ぶりの聖地を目指す戦いで失うものは何もない。

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