『ザ・ボーイズ』生みの親エリック・クリプキ、「本作の根底にはトランプがいる」

Amazonプライムビデオの大ヒットシリーズ『ザ・ボーイズ』。シーズン4配信が始まったばかりの本作の意図について、ショーランナーのエリック・クリプキがインタビューに答えた。米Hollywood Reporterが報じている。

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時代とトランプ元大統領を反映した

「セス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグと私がこの作品を売り込みに出したときは、2016年だった。私たちはただ、スーパーヒーローがセレブリティとして悪さをするという、非常に現実的なスーパーヒーロードラマを作りたかっただけなんだ。その時のトランプは、"指名は実現するわけないだろう"という人物だった。だが彼が当選したことによって、現実の世界のことを語るメタファーを手に入れたんだ。私たちは、セレブと権威主義の交錯、そしてファシズムを売り込むためにソーシャルメディアとエンターテインメントがどのように使われているかについて語ることになった。“まさに台風の目にいる”ってね。そのことに気づいてからは、できる限りその方向に突っ走る義務があると感じたんだ」

そう語ったエリック・クリプキは、時代とトランプ元大統領を反映した内容が根底にあることを述べた。

「公開の2年近く前に脚本を執筆することもあるが、今回のシーズン4もまた、描かれていることが正確に時事ネタを映し出しているものになっていることに気づくだろう。ネタバレではないと思うが、(シーズン4の)最初のエピソードでは、(アントニー・スター演じる)ホームランダーが裁判にかけられる。懸念されることは、"あれほど力のある人物を有罪にできるのか?"ということなんだ。そしてそれは、さまざまな支持者や彼に抗議している人々にとって何を意味するのか? トランプの裁判中どうなるか私は知っていたのだろうか? もちろんそんなことはない。でも、私たちは自分が怖いと思うこと、腹が立つことを書くんだ。昨年、シーズン3について、ある人から "黒人居住区における警官や過剰取り締まりについて、どうしてそんなに先見の明があるんだ?"と聞かれたよ。まあ、100年以上前から問題になっていることなんだけれどもね。5年前に問題として浮上したんだが、残念ながらこの後5年後もそれは変わらないだろう。いつも同じゴミ見たいなことの繰り返しなんだ」

また、作品を製作する上で、映画やテレビにおける風刺が人々に与える影響についてはこう答えた。

「カタルシスだよ。私は自分の仕事に幻想を抱いていない。私はカーニバルで働く人や道化師の間のような存在だ。描いたもので、人の心が変えられるかどうかはわからない。でももしそうできるなら、それは素晴らしいことだ。いいかい、私は風俗画報の提唱者だ。なぜならスーパーヒーローや宇宙などのメタファーを通して、ストレートなドラマでは決して許されないような破壊的なことを言うことができるからね。そして私はヒューマニストだ。本作の道徳的な世界観を作り上げるのに、大変な労力を費やした。世間で言われているほどニヒリスティックではない。もし『ザ・ボーイズ』にある種のメッセージがあるとすれば、それは、“あなたの前に立って、世界を救うことができると言う人物は、誰でも嘘をついている”ということだね」

『ザ・ボーイズ』シーズン1~4はAmazon Prime Videoにて独占配信中。(海外ドラマNAVI)

参考元:The Hollywood Reporter

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