【6月18日付社説】育児と仕事の両立/男性の働き方を変えてこそ

 男女ともに育児と仕事を両立できる働き方改革の流れを、さらに強めることが重要だ。

 育児と仕事の両立支援を強化する改正育児・介護休業法などが成立した。男女ともに、子どもの年齢に応じて柔軟に働ける仕組みを充実させる。女性に偏っている育児の負担を是正し、少子化対策につなげる狙いもある。

 具体的には、子どもが3歳から小学校就学前までの間、従業員がテレワークや時差出勤など複数の選択肢から働き方を選べる制度の導入を全企業に義務付ける。残業免除の期間を現行の「3歳になるまで」から「小学校前まで」に拡大することなども盛り込んだ。

 子育て中の従業員の負担軽減につながる法改正の意義は大きい。特定の業務を一人で担当していたり、キャリアへの影響を懸念したりして、従業員が制度の利用をためらうことのないよう、企業などは柔軟な働き方を前提とした職場をつくる必要がある。

 企業を対象にした国の委託調査で、仕事と育児の両立を支援する上で最も回答が多かった課題は「(支援対象者の)代替要員の確保が難しく、管理職や周囲の従業員の業務量が増えた」だった。次いで「子育て中の従業員とそうでない従業員との間で不公平感がある」と答えた企業が多かった。

 子育て中の従業員をフォローする別の従業員の負担が増して退職に至るケースがある。企業や行政など各職場には、支援する側の働き方にも目配りし、無駄な業務の削減や業務の効率化などで負担を軽減することが求められる。

 育児休業については、男性の取得を促すため、従業員100人超の企業に取得率の目標を設定して公表を義務付ける。実績を公表する対象企業の規模も広げる。

 男性の育休取得率は全国的に増加傾向にある。ただ県内の昨年の取得率は36%と半数に届いていない。平均取得日数は40日弱で、女性の約300日には及ばない。

 男性の育休取得率が低く、取得しても期間が短い要因の一つに、育休後の人事評価が下がったり、配属先が変わったりする組織内の対応があると指摘されている。育休を取得できない、あるいは期間が短いために男性の家事・育児のスキルが身に付きにくく、女性に偏る負担の軽減が進まない。

 質の伴わない育休の実績を積み上げるだけでは、各職場はアリバイづくりとの批判は免れない。男性も家事・育児を担い、女性が望む働き方を実現できるよう、長期の育休取得が不利にならない社内制度を整えることが急務だ。

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