国見町教育長の再任否決、6月議会 くにみ学園構想凍結が影響

 国見町議会は17日の6月議会最終本会議で、町教育長に菊地弘美氏(62)を再任する人事案を賛成2、反対8の賛成少数で否決した。町が町内の幼稚園や保育所、小中学校について同じ場所での一体的な運営を目指す「くにみ学園」構想の計画を昨年6月に凍結したことなどが影響した格好だ。

 町議会事務局によると、教育長人事案の否決はここ20年間ではなかったという。町は新たな人事案の提出や職務代理者の任命などを視野に入れて対応を検討していく方針。

 同構想では2022年3月に、町との調整役として共同事業体「国見町官民共創コンソーシアム」を設立。備蓄食品開発のワンテーブル(宮城県多賀城市)が共同事業体の事務局を担っていたが、町は同社との信頼関係が失われたとして23年3月に事業契約を解除。町はこれまでに、同社は基本構想の策定には直接関与していないと説明している。

 最終本会議の討論では、反対する議員から「多くの町民から不信を招いたことへの責任を逃れることはできない」といった批判の声が上がった。一方で賛成する議員から「構想に夢を抱いている人がいるのも事実。教育長不在は困る」と擁護する声もあった。

 菊地氏は国見町出身。1985年に町職員となり、企画情報課長、まちづくり交流課長、保健福祉課長などを歴任。教育長には前任者の退任に伴い21年3月に着任、今月末で任期満了を迎える。

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