絵本読んで認知機能改善、福島医大・安村氏創作「むかし話」出版

絵本「昭和のむかし話―懐かしき時の記憶―」

 福島医大放射線医学県民健康管理センターの安村誠司センター長が執筆した絵本「昭和のむかし話―懐かしき時の記憶―」が完成した。懐かしい昔の絵を見て、当時を思い出してもらうことで認知機能を刺激する「回想法」を応用した本で17日、県内の書店などで販売が始まった。

 執筆の背景には、5年以上前にMCI(軽度認知障害)と診断され、認知症の進行によって好きだった本を今までと同じように読めなくなった母の姿があった。認知症の人も楽しく読めるような本がないことに気付いたことが、きっかけになったという。

 「少しでも認知機能の低下を遅らせたい」との思いで、回想法を応用できないかと考えた安村さんは「楽しい時間を持ってもらうために、温かで、穏やかな、ほっとさせてくれる絵が良い」と思い、福島市出身の日本画家斎正機さんに協力を依頼。安村さんがその絵から「むかし話」を創作した。絵本には「桜のトンネル」「ぼたん雪降る」「遠足」など斎さんの作品30点とともに、情景に合わせた物語がつづられている。

 安村さんは「高齢者を対象とした回想法を応用した認知機能改善を意図した日本で最初の絵本。高齢者ご自身や家族、介護者とともに話を読み、聞きながら絵を見ることで、楽しい気分で過ごせる時間になれば」と願っている。

 絵本はA4判68ページ。価格は3500円。問い合わせは出版社ワールドプランニング(電話03.5206.7431)へ。 

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