サービス業の従業員 2人に1人がカスハラ被害

小売りやサービス業で働く約2人に1人が、カスタマーハラスメントの被害にあっていることが分かりました。調査を行った労働組合は、法整備を含めた早急な対策を求めています。

客による理不尽なクレーム、「カスタマーハラスメント」。小売りやサービス業などの労働組合「UAゼンセン」が約3万3000人の組合員を対象に行った調査では、2年以内にカスハラ被害に遭ったと答えた人が46.8%に上りました。カスハラをする顧客は、約7割が男性で、推定の年齢では、50代以上が約8割を占める傾向となっています。

UAゼンセン:「この世代の人たちは自分が苦労してきた方というのが非常に多いと捉えています。自分たちはここまで一生懸命仕事をして、ここまで顧客に対してサービスをやってきた方というのが、ご自身ではもしかすると教えてあげているとか、自分のクレームは相手のためになっているんだという風に捉えられているかもしれないが、やはりそれがカスタマーハラスメントとして、分類されるような状況になってしまう」

調査を開始した2017年から、カスハラ被害の割合は年々減少していますが、企業側がカスハラ対策に取り組んでいないと思っている従業員の割合は4割以上で、前回の調査からほぼ変化が見られませんでした。

UAゼンセン:「より具体的なマニュアルを作って、それに基づいて従業員が働ける環境というものを整備するというのが重要であるのかなと捉えております」

一方、対策を取ったことで、カスハラの被害を減らしたお店もあります。

記者:「こちらのお弁当屋では、防犯カメラの映像をインターネット上に公開したことで、カスタマーハラスメントの件数が減少したということです」

江東区にある24時間営業のこちらの弁当店では、2010年の開店当初は週に1~2回ほど、カスハラの被害にあっていたといいます。

深夜、酔って来店した2人組が、自分で中身を出してしまった弁当を返品しようとしたため店側が断ったところ、お金を投げつけ、罵倒したといいます。店では、防犯カメラの映像を24時間、YouTubeでライブ配信している効果などもあり、最近では、カスハラの被害が3か月に一度程度に減少。そして、さらに新たな対策を講じる考えがあるということです。

キッチンDIVE オーナー:「来月に完全セルフサービスのキャッシュレス決済にしようかと思ってます。お客様との接点を減らすことによって、多少はカスタマーハラスメントの対応策になるんじゃないかと」

顧客による理不尽な要求や威圧的な言動を受けるカスハラについてはこんなデータもあります。調査によりますと、カスハラを受けた人の25.5%が会社や上司に報告、相談をした時に、セカンドハラスメントを受けたと回答しています。その内容として、「ひたすら我慢することを強要された」「軽んじられ、相手にしてもらえなかった」「自分自身に責任を転嫁された」などとなっています。

カスハラを受けた時点で辛い気持ちになるなかで、本来守ってくれる立場であるはずの会社側からこうした対応を取られてしまう例もあるということです。

労働組合のUAゼンセンは、セクハラやパワハラのように、被害を防止するための対策を義務付ける法制化が、カスハラにも必要だとして、法制化を強く求めています。

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