QBワトソンは肩のケガから「予定より早く回復している」とブラウンズGMベリー

クリーブランド・ブラウンズのデショーン・ワトソン【AP Photo/Susan Walsh】

ミニキャンプが終わり、クリーブランド・ブラウンズのジェネラルマネジャー(GM)アンドリュー・ベリーは現地17日(月)に、3人の主力選手に関する核心的な疑問に答える機会を得た。

まずはクオーターバック(QB)だ。デショーン・ワトソンは2023年シーズンを早々に終えることにつながった肩のケガから復帰しようとしている。そして、2024年シーズンがそのワトソンにとって、運命を左右する年になるのは明らかだ。

現時点で、ワトソンが完全に回復した状態でシーズン初戦に出場できる可能性は高い。実際、ブラウンズはワトソンが全力で取りかかるところを見たいと切望しており、トレーニングキャンプが始まる日を待ちわびている。

『NFL Network(NFLネットワーク)』の番組“The Insiders(ジ・インサイダース)”に出演したベリーGMは「何よりもまず、デショーンはこの数カ月間、リハビリの過程で本当によく頑張っていた」と述べ、こう続けた。

「実際、予定より早く回復している。いわば、制限をなくして自由にやりたくてウズウズしているといったところだが、本当にいい春を過ごしていた。うまくボールを投げている。ベテランミニキャンプの7オン7やチーム練習では、本当にいい仕事をしていた。だから、彼がトレーニングキャンプに臨み、パッドを装着するのを楽しみにしている」

「彼は素晴らしい進歩を遂げている。正直、彼が去年に負傷したことを知らない人は、違いを指摘できないと思う。キャンプが始まったら本当に楽しみだ」

6月は楽観的な意見が出やすい時期だが、ベリーGMの反応は単純に希望から生まれたものではない。ワトソンはオフシーズンプログラムでボールを投げる際にも良い状態にある様子を見せていた。また、予定より早く回復しているならば、7月下旬の始動に向けて万全の準備が整うはずだ。

昨シーズン第2週に膝に重傷を負い、それが原因で契約が調整されたランニングバック(RB)ニック・チャッブは、ワトソンとは状況が異なる。リハビリに精力的に取り組んでいるものの、チャッブがかつての姿を取り戻す保証はない。しかし、だからと言ってチャッブが急にブラウンズと無関係になったわけでもない。

ベリーGMは最終的にインセンティブをより重視する形でまとめたチャッブとの契約交渉について「組織のどのメンバーを見ても、自分たちが相手にしているのは人間だという事実を見失わないことが重要だ」とコメント。

「去年、ニックに起こったことはとても不幸なことだった。彼はクリーブランド以外の場所にいたいと思っていなかった。あれが、彼がクリーブランド・ブラウンズのジャージーを着てプレーする最後のスナップになることを、私たちは望んでいなかった。はっきり言って、彼はチームの心臓であり、鼓動だ。利他的な人間で、懸命に取り組む。傑出したボールキャリアーであり、素晴らしいランニングバックだ」

「シーズン終了時の記者会見でも話したが、シーズンを迎えるにあたり、私のニック・チャッブに対する尊敬度合いは10点満点中10点だった。シーズンを終えた時点で、それは10点満点中20点になった。彼は毎日、5時半に来てリバビリをし、日曜日の試合に向けて準備しているかのように取り組む選手だったからだ」

「それは彼個人について、そしてプロフェッショナルとしての彼について、何かを物語っていると思う。私たち全員が最も楽しみにしている瞬間のひとつは、彼が2024年シーズンに初めて出る試合で、最初にホームのトンネルから飛び出す瞬間だ。彼が戻ってくることに本当にワクワクしているし、彼と共に進んでいくのが待ちきれない」

決別を避けるためにチャッブの契約が調整され、ワトソンが順調に回復している中、ブラウンズにはまだ1つ問題が残っている。それは、ワイドレシーバー(WR)アマリ・クーパーの契約だ。もともとはダラス・カウボーイズと締結した5年1億ドル(約157億6,560万円)の契約の最終年を迎えているクーパーは、現在のWRポジションの報酬水準から判断すると、契約内容を上回るパフォーマンスを見せていると言えよう。

クーパーは月曜日に30歳になった。クーパーが契約交渉で有利になるのに、今ほど適した時期はない。そうしたことから、両者が金銭面の話し合いを続ける中で、クーパーは参加必須のミニキャンプを欠席している。

月曜日にクーパーについて聞かれたベリーGMは予想通り、契約交渉に関するコメントを避けたものの、2022年にブラウンズに加入してからずっと完ぺきなプロフェッショナルであるクーパーについて、熱弁をふるっている。

「アマリについて言えることは、クリーブランド・ブラウンズのメンバーになってからずっと、彼は明らかにハイレベルで、プロボウル級のレシーバーだということだ」とベリーGMは強調。

「それに、彼は素晴らしいチームメイトでもあり、素晴らしいプロフェッショナルでもある。彼が組織の一員でいてくれて幸せだ」

「どのチームにもこういう状況に陥る時期はあるものだが、だからと言ってアマリへの思い入れが変わるわけではない。ビジネス的な考慮事項や側面についてはその都度、対応していくつもりだが、彼はチームの重要な一員だ。それと同じくらい大切なのは、彼がうちの文化の重要な一部であることだ」

オフシーズンに行われたトレードでジェリー・ジューディが加わったブラウンズWR陣をけん引しているクーパーは、2年連続で1,000レシーブヤード超えを達成している。単なる契約調整という形になったとしても、ブラウンズにとってはクーパーとの契約を成立させることが最善策となるだろう。完全復帰に向けて順調に回復する中、2021年に結んだ5年2億3,000万ドル(約362億6,088万円)の契約に見合う活躍をすることを目指すワトソンにとって、そのトップターゲットの再契約は極めて重要なものになるはずだ。

時間を無駄にする余裕がないブラウンズでは、誰もがそれを理解した上で行動しているように見える。昨季、プレーオフ進出という予想外の結果を残したブラウンズが、2024年に再び成果を出せるかに注目だ。

【RA】

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