止まらない「のり」の価格上昇 影響はまちのお弁当屋にも 国内では不作が続く

メ~テレ(名古屋テレビ)

おにぎりなどに欠かせない「のり」の価格上昇がとまりません。国内では不作が続き、その影響は、まちのお弁当屋さんにも。身近な食材が「買いづらく」なりつつあります。

創業94年の「荒木海苔店」。 店内には「有明」や「伊勢湾の焼きのり」など、ユニークなパッケージの味付けのりがあり、いろんな種類ののりが販売されています。 ご飯のお供として人気の、“のり”。 看板商品の“味付けのり”を、上坂嵩メ~テレアナウンサーがいただきました。 「磯の香りが広がりますね。味付けもいい!パクパク食べちゃいますね」(上坂アナウンサー)

「のり」の価格に変化

上坂アナウンサーが食べた、“味付けのり”。 実は―― Q.のりの価格に変化は 「弊社の、のり製品。値段を上げざるを得ない」(荒木海苔店 荒木隆史社長) 人気の「のり子さんシリーズ」は、6月から100円値上げしました。 その他の一部商品についても、5月から6月にかけて、内容量や価格の見直しを行いました。

値上げに踏み切った原因は?

値上げに踏み切った、主な原因は―― 「全国の半分ぐらいの生産量を誇る九州、こちらが不作。“有明の のり”が有名だが、不作で。全国の、のりの生産量に大きなインパクトを与えた」(荒木社長) 「のり」の一大産地、九州の有明海では不作が続いています。 「全国漁連のり事業推進協議会」によると、国内の「のり」の生産量は2018年以降、60億枚台で推移していましたが、去年とおととしは、50億枚を下回っています。 「不作が1年であれば、のり商社も手持ちの在庫を出すことで、なんとかしのぐことができるが、2年連続となると、前年でけっこう出しているので。相場は必然的に上がる、抑えきれない」(荒木社長)

生産者などから厳しい声が…

15日に愛知県内で開かれた「のり」の生産者や販売業者らによる、意見交換会。 記録的不作や、後継者不足など業界が直面する課題や、その対策について話し合われました。 愛知県産の「のり」は、知多半島や三河湾で作られています。 「日間賀島だが、のりの枚数は上下の差はない。あすは我が身。愛知県も自然相手なので、いつ、(のりが)黄色く品質低下になるか分からない」(日間賀島漁業協同組合 鈴木慶二さん)

“のり離れ”を心配する声も

「のり」販売店の荒木社長も、15日の会合に出席し、危機感を共有しました。 「のりがとれない、それに伴い価格が上がる。消費者の方々がそれ(値上げ)を吸収してくれればいいが、なかなかそうもいかない」(荒木社長) 価格高騰による、消費者の“のり離れ”を心配する声もありますが―― 「生産者の皆さんも一生懸命のりを生産して、おいしいのりを届けたいと、強い思いを持って動いてくれている。何とか皆さんの食卓に、のりがある光景を守りたい」(荒木社長)

お弁当屋さんにも「のり」の影響が…

私たちの食卓に身近な「のり」の異変。 影響は、まちのお弁当屋さんにも―― 「きょうは、のり弁当を買いに来ました」(40代) 「夫が、のり弁当が好きなので」(50代) 名古屋市緑区にある「小さな台所 穂の花」。 店の人気メニューの一つ、ボリューム満点の“のり弁当”。 去年と今年、2度にわたって値上げしたといいます。 「500円台、1年前から600円台にした。お客さんからしたら痛いかなという感じ。いろんなものの値段上がってきて、のりも一緒に上がってきている」(小さな台所 穂の花店主 福島紫乃さん)

対応は限界

値上げの背景のひとつには、やはり「のり」の価格高騰が。 去年6月、仕入れている「のり」が値上がりしたそうです。 取引先との値段交渉を続けていますが、さらなる値上げがあった場合、対応は限界だといます。 「値上げが続くと、のり弁当も出せなくなるので、どうなるかと心配」(福島さん)

「お弁当」も苦境に

野菜や米、容器までが値上がり傾向にある中での、「のり」の高騰。 手ごろな価格を売りにする「お弁当」も、苦境に立たされています。 「いろいろと考えたが、のり弁当はみなさんが食べるので、ないとやっぱり困りますよね。のりの代わりというとなかなか難しいので、できればそこまで値段は上がってほしくない」(福島さん)

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