「テストがない」「修学旅行の子どもたちで企画」一見奇抜な学校運営を紹介 学校の理想像や役割考える映画上映会 小中学校の再編議論の島根県大田市

夢みる小学校の上映後に、感想や教育に対する意見を交わす来場者=大田市大森町、大森さくら保育園

 子どもの自主性を尊重した全国の学校のドキュメンタリー映画「夢みる小学校」の上映会が15日、大田市大森町、大森さくら保育園であった。テストがないといった一見奇抜な学校運営が紹介され、町民ら来場者が学校の理想像や役割について考えた。

 オオタ・ヴィン監督が2021年に公開した自主制作映画で、学校法人きのくに子どもの村学園(和歌山県橋本市)が山梨県南アルプス市で運営する「南アルプス子どもの村小学校・中学校」を中心にカメラを向けた。

 映画では子どもたちの自己決定権を尊重し、体験学習に重きを置いた学校運営を紹介する。授業は工作や調理、演劇などに挑戦する「プロジェクト」が半分以上を占め、麺作りに取り組む場面では、おいしい麺を作るために皆で話し合い、地域のうどん店にこつを聞きに出向き、調理に臨んだ。

 修学旅行も自分たちで企画し、宿の予約やキャンセルも担う。子どもたちの主体性を信じ、生活に根差した体験を通じて現代に必要な学力や社会性を育む様子が描かれる。

 大田市では大森小学校をはじめ複数の小中学校で再編問題が議論されている。上映会は一般社団法人・石見銀山みらいコンソーシアムが企画し、金田郁也(ふみや)さん(30)は「学校や教育について皆で考え、視野を広げるきっかけにしたい」と強調。大森町に3月、家族で移住した斉藤大将(だいすけ)さん(35)は「テスト中心の教育で育った自分には衝撃的だった。子どもたちがすごく楽しそうだった」と話した。

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