トヨタ株主総会、豊田会長など取締役10人を選任 株主提案は否決

Maki Shiraki

[豊田市(愛知県) 18日 ロイター] - 認証不正問題が発覚したトヨタ自動車は18日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開き、会社提案通りに豊田章男会長ら取締役10人が選任された。米大手議決権行使助言会社2社が豊田氏の選任に反対を推奨し、一部の機関投資家が事前に反対票を投じて注目されていた。一方、昨年に続いて欧州の機関投資家が出した気候変動関連の株主提案は否決された。

総会は午前10時に始まり、前年並みの2時間弱で終了。議長を務めた佐藤恒治社長が冒頭で認証不正について謝罪し、「豊田会長がグループの責任者として先頭に立ち、現場に根ざした改善を進めている。私も会長とともに現場で再発防止にしっかりと取り組む」と述べた。

質疑応答では、「認証不正問題発覚後、これまでと同じやり方で経営戦略を進めることができるのか」などの先行きを不安視する株主の声が聞かれ、佐藤社長や中嶋裕樹副社長などが取り組み状況を説明し、理解を求めた。

豊田会長は今年、議長の指名を受ける形で株主からの質問に答え、実験都市「ウーブン・シティ」の開発状況について報告。また、認証不正が発覚する中、モータースポーツに時間を使い過ぎているのではないか」といった質問も飛び、「責任者として正しいものづくりを行い、モビリティ・カンパニーへの変革を目指すトヨタグループの航海をリードする」と語った。

会社提案の3議案はいずれも承認された。このうち取締役選任議案を巡っては、議決権行使助言会社大手のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービス(ISS)とグラスルイスが豊田会長の選任に反対するよう株主に推奨。グラスルイスは早川茂副会長の選任にも反対を推奨していた。

ISSはグループ企業で起きた認証不正を反対推奨の理由に挙げ、「最終的な責任は、経営トップを長年務めてきた豊田氏にある」と指摘していた。昨年も反対を推奨していたグラスルイスは「取締役会が十分に独立性を保っていない」などと企業統治のあり方を問題視した。

ニューヨーク市の公的年金基金は、「安全と法令順守の観点」(企業統治を担当するマイケル・ガーランド氏)から豊田氏の選任に事前に反対票を投じた。米国で最大級の運用資産を持つカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)も事前に反対票を投じた。

3─4年ほど前にトヨタの株主となり、千葉県から株主総会に今回初めて出席した高橋秀典さん(84)は、取締役選任議案に賛成票を投じた。高橋さんはロイターの取材に「認証不正は確かに悪いことだが、起きてしまったことはしようがない。安全性に問題はないと聞いている」と語った。豊田会長の取締役選任は「不正の再発防止策をしっかりやる気のようだし、創業家出身の経営トップでも優秀な人であれば、続けても良いのではないか」と話した。

各取締役や株主提案の賛否比率は19日に公表される予定で、同社を含めたグループ企業で認証不正が相次ぎ、企業統治のあり方を問う声が上がる中、社長、会長としてトヨタを15年間率いてきた豊田会長に対する賛成票比率が今後の焦点となる。

2022年までの5年間は約95―98%で推移していたが、23年は84.57%と22年の95.58%から10ポイント超低下した。

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