【夫婦共働き】小学生の子ども2人で夫婦の収入は同じくらいです。どちらの扶養がお得ですか? それぞれに子ども1人ずつ入れることもできますか?

2種類の扶養があることを知っておこう

夫婦共働きの場合、子どもはどちらの扶養に入れればより節税につながるのか、考えている人は少なくありません。

とはいえ、知っておくべきことは、扶養には「2種類の扶養がある」ということです。

その2つの扶養とは、(1) 税法上の扶養、(2) 社会保険上の扶養です。

(1) 税法上の扶養

納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。そして税法上の扶養は、いわゆる「どちらの扶養に入れたら節税効果があるのか」を基準に判断することが一般的です。

小学生のお子さまということで、今回のケースでは問題ありませんが、所得や年齢によっては、同居しているかどうか等の有無など細かく条件が定められていますので、無条件で扶養にできるわけではない点は注意が必要です。

(2) 社会保険上の扶養

扶養している家族がいる場合には、扶養に入れることで扶養されている人が病気やけが、出産したときや死亡してしまったときに、保険の給付が行われます。

税法上の扶養と同様に扶養に入る条件は細かく基準が設定されており、扶養にできる人の範囲や収入の基準が設けられています。今回のケースのように小学生の子どもの場合は、もちろん扶養の対象です。

(1) 税法上の扶養と(2) 社会保険上の扶養の大きな違いは、お得かどうかにかかわらず、(1)の税法上の扶養は、どちらの収入が多いのか等を考慮しなくても、夫か妻のどちらかの扶養にできます。

一方で(2)の社会保険上の扶養は、夫と妻のどちらの扶養に入れるのか、自由に選ぶことはできません。原則、収入が多いほうの扶養になります。

ただし、今回のケースでは収入が同じくらいということになっています。そのような場合、社会保険上の扶養は夫と妻の年収差が1割以内なら、夫と妻のどちらかを選べます。

基本的に年収の高い人の扶養に入れたほうが有利だが……

収入が高くなればなるほど、所得税率は高くなります。できるだけ所得税を抑えたいと考えているなら、年収の高い人の扶養に入れたほうが、節税効果があります。

今回のように収入が同じくらいの場合には、夫と妻に分けて、子どもを1人ずつ扶養に入れたほうが節税効果を期待できることもあります。まずは、シミュレーションをし、年収の高いほうが2人を扶養した場合、夫と妻で1人ずつ扶養した場合、所得税がいくらになるのかを確認し、税負担が少なくなるパターンを選ぶとよいでしょう。

ただし、勤務先によっては、扶養控除の適用を分けられないこともあるようです。税法上の扶養は、夫と妻のどちらに入れるのかを任意で決めることができますが、あらかじめ勤務先に確認してから、夫と妻に分けるのか、どちらか一方で扶養控除の適用を受けるのかを決めることが大切です。

働き方や収入によって扶養の見直しをしよう

現在は、同じくらいの収入であっても、働き方や雇用形態が変わった場合、転職した場合や失業してしまった場合等、夫と妻の収入に変化が生じることがあります。そのようなときには、どちらの扶養にしたほうがよいのかを見直すことも考えてみましょう。例えば会社員や公務員なら、毎年11月に提出する年末調整の扶養控除等申告書に被扶養者を記入すれば変更できます。

夫と妻のどちらの扶養にするかは、毎年、変更することが可能です。夫婦の収入に大きな変化があったときには、どちらの扶養に入れるのかの見直すとよいでしょう。

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
全国健康保険協会 協会けんぽ 被扶養者とは?

執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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