街ブラの源流「考現学」 提唱者・今和次郎(青森県出身)の故郷を歩く JR東の新幹線車内誌が特集 

「考現学」と青森県の旅を特集したトランヴェール6月号

 JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」6月号は「路上観察とレトロな匂いに誘われて 旅する北の考現学」と題し、青森県の昔ながらの風情が残る場所を巡る旅と、五感を解放しての街歩きの魅力を全18ページにわたって特集している。

 考現学は、人々の暮らしを記録・採集し、世相や風俗を読み解く学問で、弘前市出身の建築家・今和次郎(1888~1973)が提唱した。

 特集の第1部では、和次郎の弟で画家の今純三(1893~1944)が、祭りや風俗など青森の暮らしを詳細に記したスケッチを多数紹介。所蔵先の県立郷土館の学芸員が、それらの魅力を解説している。さらに、考現学の視点で青森の街を歩いてみることを提案。何に注目するかで、同じ街でも全く違った姿が見えてくる面白さを伝えている。

 第2部では、匂いをテーマに作品を手がけるアーティスト・井上尚子さんが、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸(青森市)、加藤味噌醤油醸造元(弘前市)、弘前市のこぎん刺し作家・佐藤陽子さんの展示館、黒石市の温湯温泉に1軒だけ残る客舎「後藤温泉客舎」を訪ね歩いた。

 編集部の担当者は「街ブラ番組・散歩番組が人気ですが、その流れを調べると今和次郎の考現学にたどり着く。考現学を通して、旅先での街歩きをより深く楽しんでもらえたら」と企画の意図を語っている。

 6月号は今月末ごろまで東北、山形、秋田、上越、北陸の各新幹線車内で配布している。

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