三ツ間卓也氏が激白 中日投手からイチゴ農家へ 禁断の「代打・三ツ間」真相も!

「代打三ツ間」Tシャツを着て投球ポーズをとる三ツ間卓也

プロ野球界で戦力外となった男が選んだ異色の転身先とは――。中日の元投手だった三ツ間卓也氏(31)が神奈川・横浜市内にイチゴ農園を2024年1月にオープンさせて話題となっている。選手時代に趣味で始めたベランダ菜園程度の農業経験しかなかったが“畑違い”のセカンドキャリアに奔走。イチゴ農園を開業するまでの経緯や苦労話、今後の夢や、禁断の「代打三ツ間」の真相にも迫った。

――プロ野球選手を引退後、なぜイチゴ農家に

三ツ間氏 現役時代は新型コロナウイルスの感染拡大もあり、ステイホームの時間を活用してベランダの一角でイチゴ、トマト、ナスなどの家庭菜園に挑戦した。そうしたら当時1歳半の長男・伊吹の「パパのイチゴがおいしい」という言葉に胸を打たれたのがきっかけ。

――うれしかった

三ツ間氏 とても。家族の笑顔を見たさに、ますます家庭菜園に没頭して引退後は趣味ではなくイチゴ農家になりたいという強い思いがあった。

――扱っている品種は

三ツ間氏 イチゴが食べられる時期は12~6月で終わりですが「紅ほっぺ」「おいCベリー」など9品種ある。一般的なイチゴ農園では1、2種類ぐらいなのでかなり多いのが自慢。ウチでは赤、ピンク、白の3色グラデーションのイチゴが食べられるのがウリです。

――ここまで順風満帆だった

三ツ間氏 全然そんなことないです。引退後、かながわ農業アカデミーの専門学校に1年間通って農業で収入を得るための勉強をした。最初、契約しようとした土地が相場の約20倍の値段をふっかけられて破談したり…。土地探しからやり直しで何十件以上も訪ねたり大変な思いをした。

――同業者と思われる人から水道弁を止められてイチゴの苗の1レーンが枯れてしまうイジメを受けたとして自身のSNSで発信していたが

三ツ間氏 その件は警察に任せているので。ただ、こういう嫌がらせに僕は負けません。今後はライバルとも思われないぐらいのレベルまで飛び抜けてやろうかなと思っている。僕は超ポジティブ思考なので。

――ユーチューブではイチゴ農園のことやプロ野球に関する裏情報なども発信もしている

三ツ間氏 プロ野球選手のセカンドキャリアというとどうしても暗いイメージがあるので、リアルな思いを伝えたかった。編集も全部、自分一人でやっている。昼間は農園作業があるので編集は午後10時から午前1時半ごろになってしまう。でも、ユーチューブもそうだけど、こうやって新聞やテレビ、ラジオに出たりして取り上げてもらえることはありがたい。選手時代よりも取材が増えました(笑い)。

――育成入団だったプロ入りを振り返って

三ツ間氏 1年で結果を残せなければクビだという覚悟だった。ファームでも結果を出していたし、めちゃめちゃ自信を持ってやっていた。リミットの7月になって小笠原(道大)二軍監督に「なんで僕は支配下になれないんでしょうか」と監督室まで直訴しに行きました。

――その時の小笠原二軍監督の反応は

三ツ間氏「お前の成績を見たら、そう言いたくなる気持ちも分かる。ただ需要と供給が一、二軍にはある。俺だけの意見じゃなくて球団全員の意見が必要なんだ」と。

――当時の谷繁元信監督は落合博満GMの傀儡(かいらい)政権だとやゆする声もあった

三ツ間氏 正直、誰に認めてもらえばいいんだろうという戸惑いはあった。やっと1年目オフに支配下登録されて、その時は喜んでガッツポーズとかではなく「やっとかよ、遅すぎるよ!」という気持ちでした。

――「代打三ツ間」は全国的な話題となった

三ツ間氏 今でもお客さんから言われます(笑い)。自費製作で「代打三ツ間」Tシャツを販売したんですが飛ぶように売れました。4回ぐらい増販したけど即完売。あまりに問い合わせが多いので6月下旬からTシャツ販売を再開予定です。

――当時はどんな気持ちで打席へ

三ツ間氏 結構、ウキウキな感じで打席に入りました。ホームラン打ってやるぞ! と。結構、外野守備が前へ来てるから、これ芯食ったら越えるんじゃないかって。

――結果、空振り三振に終わり、与田監督の采配ミスだったとして炎上騒動にもなった

三ツ間氏 試合後、与田監督はロッカーに全選手を集めて「三ツ間、すまなかった。投手を打席に立たせてしまって三ツ間の野球人生もあるし、もしデッドボールにでもなっていたら俺の責任だ。本当に申し訳なかった」と謝罪したんです。

――そんなことが

三ツ間氏 でも、僕にとっては皆さんが思うようなマイナスな出来事ではなかった。僕が打ってればヒーローだったし、与田監督も責められることはなかったので申し訳ない気持ちもあるけど、僕にとっては貴重な経験。ネガティブに捉えていたら「代打三ツ間」Tシャツなんか作らないですよ(笑い)。

――さらなる今後の目標は

三ツ間氏 目標は1万人集客。今年の12月には1号店から車で5分以内の場所に2号店を出します。これまでイチゴ狩りと直売だけをやってきたけど、今後は出荷もしていきたい。あと5年以内に海外出荷をしたい。

――世界にまで目を向けている理由は

三ツ間氏 現役時代から仲の良い外国人選手からいろいろ話を聞いた。「日本の果物はとてもおいしくて価値があるから絶対に海外にどんどん出荷した方がいい」とアドバイスをもらった。

――その選手とは

三ツ間氏 アリエル(マルティネス=現日本ハム)や(スティーブン)モヤ、(ルーク)ワカマツたちに猛プッシュされた。それがずっと印象に残っていた。

――最後に球界を去った元選手たちにエールを

三ツ間氏 プロ野球選手になれたということは1つのことに対して特化して取り組める力を持っているということ。セカンドキャリアも野球と同じように人生を懸けて取り組んでほしい。野球を引きずってしまいどっちつかずになってしまうのが一番良くない。第2の人生に全て注力して、新しい世界でもプロフェッショナルを目指してほしい。

【「代打三ツ間」とは】2020年7月7日の中日―ヤクルト戦(ナゴヤドーム)で1―2の延長10回裏二死満塁、一打逆転サヨナラの場面で中日・与田監督は投手・岡田の代打として投手・三ツ間を起用。だが空振り三振で試合終了。直前の10回表でマウンドに投入した岡田をなぜか8番に入れただけでなく、9番に入っていたA・マルティネスを加藤に代えて野手を使い切ってしまい、さらに出場選手登録枠を2つも余らせていたことなどで「与田采配」が物議を醸した。

☆みつま・たくや 1992年7月22日、群馬県榛名町(現高崎市)生まれ。31歳。右投げ右打ち。身長183センチ、体重82キロ。健大高崎高、高千穂大に進学し、独立リーグ・武蔵ヒートベアーズを経て2015年育成ドラフトで3位指名を受けた中日に入団。16年オフに支配下登録され、主にリリーフとしてプロ6年間で通算77試合に登板し、4勝3敗15ホールド。21年オフに現役引退。23年に認定新規就農者資格を取得し、24年1月からイチゴ農園をオープンした。ユーチューブチャンネル「代打三ツ間のstrawberryチャンネル」で野球界やイチゴ農園の最新情報を発信中。

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