スペースデータ、東大と共同研究–宇宙ステーションや宇宙ロボットにAI活用

スペースデータ(東京都渋谷区)は6月17日、東京大学 先端科学技術研究センター(東大先端研)と宇宙ステーションや宇宙ロボットへのAI(人工知能)活用に向けた共同研究と開発を開始したことを発表した。

東大先端研で知能工学分野で教授を務める矢入健久氏は、20年以上宇宙でのAI活用を研究、人工衛星での「データ駆動型のシステム健全性監視」が主な研究テーマと説明。宇宙機や自律移動ロボットのための自己位置推定や環境地図作成の研究を進めているという。

スペースデータと東大先端研の共同開発では(1)宇宙ステーションの自律化、(2)宇宙ロボットへのAI搭載――の2つが主題としている。

(1)宇宙ステーションの自律化では、「データ駆動型のシステム健全性監視」の技術を宇宙ステーションのシステムに応用し、既存の運用データをもとにAIで宇宙ステーションのシステム健全性監視を自動化する。これまで専門家による高度な知見が必要だった運用業務を自動化、自律化するアプリケーションの開発を検討する。

(2)宇宙ロボットへのAI搭載では、宇宙ステーションや月で稼働する宇宙ロボットでAIを活用した自己位置推定や地図作成技術を開発する。宇宙飛行士とのコミュニケーションや作業支援などAIのさまざまな活用も検討する。

東大先端研の矢入氏は、人工知能や機械学習に関連した研究を進めている。システムの状態に関するデータやラベリングが十分でないために「教師あり学習」を適用できない場合で、システムの正常稼働を「教師なし学習」で推定したり、専門家の知識に基づくモデルを活用することでデータやラベリングの不足を補ったりする方法の研究に取り組んでいるという。

人工衛星や生産プラントに代表される大規模で複雑な人工システムが正常に稼働しているかどうかをデータから監視する技術、データ駆動型システム健全性監視技術も開発している

スペースデータは、デジタル技術と宇宙技術を融合させて、新しい宇宙ステーションや宇宙ロボットの技術に取り組んでいる。国土交通省が主導する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」で「高精度デジタルツイン自動生成」、宇宙環境をデジタル空間に再現する「宇宙デジタルツイン」などを開発。2023年5月にはスペースコロニーの実現に向けた課題解決などに取り組む研究組織「スペースコロニーラボ」を設立した。

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スペースデータプレスリリース(PR TIMES)

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