「皆さんやってる」東京・蒲田駅の放置自転車が深刻化…区営駐輪場20カ所もあってなぜ?区が簡単に撤去できない“理由”とは

JR蒲田駅西口から約400mの距離にある商店街の一角が、条例違反の放置自転車で埋め尽くされ、住民から怒りの声が上がっています。

近隣住民:
車で通った時に、車も通れない。急いでいる時に私たちも通れない。
急いでいる時なんかは、ちょっとイラッとしちゃう時ありますね。

近隣住民:
車が通ってて、やっぱここ歩けないんでどうしても。(自転車が)ちょっと邪魔だなとは思いますね。

駐輪場ではない場所に止められた多くの自転車によって、車道が狭くなり、歩行者は危険な状況に。

大田区は、自転車の放置や駐輪の禁止を呼びかけ、撤去する場合もあると警告していますが…。

田中良幸 情報キャスター:
止まっている自転車の真ん中に黄色い立て看板が…自転車放置禁止という看板が立っています。また、自転車を止めないよう呼びかける紙、そして、そのすぐ横には最寄りの駐輪場の案内図が掲示されています。こちらの自転車ですがハンドル部分には、放置をやめるよう呼びかける、オレンジの紙が巻かれています。

「駐輪場がいっぱい」

蒲田駅周辺には区営の駐輪場が20カ所あり、近隣の駐輪場への案内図も設置されていますが、なぜ駐輪場に止めない人が多いのか。

実際に自転車を止めていく人に声をかけてみました。

――ここに自転車を止めている理由は? 自転車を止めている人:
(止められる場所が)ないから。(自転車を)取られる覚悟です。

――止めていけないと分かっていますか?
多分、皆さんやってる。知っていてやっていると思います。

――この2カ所が駐輪場の案内図なんですけど、ご存知でした?
知ってます、いっぱいですよ。

止めてはいけない場所だと知りつつも、止める場所がないといいます。
自転車を取りに来た別の人物は…。

――自転車を止めては駄目な場所と知っていますか? 自転車を止めている人:
最近これ(自転車放置禁止の看板)が置かれたみたいで。

――近くに正規の駐輪場があるのはご存じですか?
止められないんじゃないですか?いっぱいで。確か、駅前の所は。

こちらの人物も、止めている理由を「駐輪場が空いていないから」と話します。
めざまし8が区営の駐輪場に行ってみると、確かに駅周辺の駐輪場の多くが、満車状態でした。

これに加えて、近くの賃貸マンションが空きビルとなったことで、その前に自転車を止める人が増えたといいます。

すぐに撤去できない“壁”

歩行者の通行の妨げにもなっている“違法駐輪”について、大田区はどのように考えているのでしょうか?

大田区都市基盤整備部 厚川令子氏:
ご指摘の場所は道路上ですので、大田区は区内のどこであっても、路上の自転車の駐車というのを認めていないんですね。区の条例について啓発や撤去を行っております。

条例に基づいて適切な処置をしているといいますが、放置自転車が多い地区について、難しい問題もあるといいます。

大田区都市基盤整備部 厚川令子氏:
この場所は、条例で定める「放置禁止区域」の外側になります。そのため、即日の撤去ができないんですね。

問題となっている場所は、「放置禁止区域」の外側。
禁止区域内の場合は、即時撤去が可能ですが、区域外は警告札を貼付してから1週間後にしか撤去することができないのです。

さらに、めざまし8のMCを務める谷原章介は、放置自転車が減らない理由の一つとして、駐輪場の場所に着目します。

MC谷原章介:
ぱっと見十分あるように見えるんですけども、ニーズを満たせていないのかなと思うんです。近くの駐輪場が線路の反対側だったり、駅までのブロックも全然駐輪場がなかったり。駐輪場を使われる方のパターンはいくつかあると思うのですが、通勤・通学で使ってそのまましばらく放置する方と、お買い物などちょっとしたほんの数分止めるだけのちょい乗りみたいな形で使う場合と。それぞれの場合で、施設の誘導の仕方を変えた方がいいのではないかなと。
もしくは、日本は土地が狭いですから、各店舗の前にきちんと安全に自転車を止められるような場所が設置されているところはほとんど見ないですよね。そういったものが(放置自転車が)一カ所に集中してしまう原因になっているのかなと。
(めざまし8 6 月18 日放送)

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