「お返しはしたいので、待っていてください」長瀬智也 バイクレースに出場!明かした“バイク愛”と“役者業復活”への思い

(撮影:加治屋誠)

「お久しぶりです。Instagramを見て来てくれたんですか。うれしいです」と満面の笑顔で迎えてくれた長瀬智也(45)。6月9日、富士スピードウェイで行われた「2024 Clubman Roadrace」にCHALLENGER RACINGチームの一員として参戦していた長瀬の一日に密着した。

朝8時半、エンジン音が鳴り響く会場で出場者たちがバイクを調整するなか、「かっこいい!」「足長いな」と人だかりができていた。その中心にいたのが長瀬だ。カメラマンやギャラリーに囲まれ、撮影大会のようになっていた。

6月1日、自身のInstagramに「我々のために来てくれる記者様は1人もいないと重々認識はしておりますが、それでも我々のために来てくれる記者様がいたのなら積極的に囲み取材の対応も考えさせていただきます。(中略)楽しみにしていますよ」と書いていたのを見て、急遽富士スピードウェイへ向かった我々。ファンの人たちも同様に駆けつけてきたようだ。

胸元まで伸びた長い髪を束ねて、レーシングウエアを着た長瀬は、無精ひげもあってか、ますますワイルドに、大きく見えた。記念撮影に快く応じるサービス精神旺盛な姿や、仲間たちと「ガハハハ」と口を大きく開けて談笑する姿は以前と全く変わらなかった。

ストレッチや精神統一をしながら、他の選手たちとコミュニケーションを楽しんでいた長瀬だが、スタートが間近になると一転、ヘルメットをつけて真剣な顔つきになり、サーキットに向かった。

スタートとともに爆音が鳴り響き、猛スピードで走り出すバイクたち。車体を倒してレーンすれすれに走る姿はかっこよかったが、危険と隣り合わせのスポーツであることが改めて感じられた。

■「見てくれる人がいないと表現者になれない」

レース終了後、長瀬の囲み取材が始まった。

「今日はお集まりいただき、ありがとうございます。まさかこんなに来てもらえると思いませんでした。僕のSNSを見て来てくれたのかな、と勝手に思っていますが。バイクのシーンを盛り上げたいという一心で、微力ながらにお手伝いできることがあればと思い、発信させていただいています。

僕らにとってバイクレースはすごく刺激的な場所だし、自分はオートバイやレースに救われた身なので、きっと自分たちと同じような人間がまだ日本にはいるんじゃないかなと思っています。

いろんな表現をしてきた人間としては、見てくれる人がいないと表現者になれない。ライダーも同じだと思っています。僕らを通じてバイクについて知る時間が、誰かの人生にとって良い時間になればいいなと」

バイクへの熱い想いを語った長瀬。テレビやバイク専門誌からの質問に答えた後、本誌も「記事を見た女性へメッセージをいただけますか」とお願いすると、こう語ってくれた。

「来てくれたら本当に嬉しいですね。スタンドにお客さんが入ってくれたら、マイクなしで声を張り上げて感謝の気持ちを伝えようと思っているほどです(笑)。女性の方はなかなか来づらいとは思いますけど、まだまだレースはやっていますし、もっともっと盛り上げて行こうと思っているので、ぜひ遊びに来てください」

囲み取材のあと、本誌の独占取材にも応じてくれた。

――役者業についてはどうお考えでしょうか。復活を待っている方は今もたくさんいらっしゃいます。

「本当に? ありがたいお話なんですけど、僕は表現に対しては高尚にならなきゃいけないなと思っているんです。演技でも音楽でもバイクでも、ずっと同じタイムでいい、って人は居ないですよね。コンマ1秒でも早く走りたい。演技もそう。前回よりも少しでも感動してもらえるようなものにしないといけない。

僕は同じことを繰り返すつもりはなくて、やっぱり難しいほうに魅力を感じてしまう。30年ぐらい役者をやらせていただいていたので、何をやれといわれてもやれる自信はありますが、こなすほど無駄なものはないと思う。

これまでの表現活動は武器なので捨てるつもりはないですが、今は、自分自身が新しいステージに行かないといけないなって思っています。だけど、見たいと思ってくれる人がいるなら、もちろんなにかお返しはしたいので、待っていてください」

――さきほど、「よく取材してもらっていたとき、僕はまだ23、4歳。今はその歳ぐらいの子供がいてもおかしくない年齢」と話していましたが……。

「でも、結婚していたらレースをやるのは難しい。だから安易に『レースやろうよ』って言えないけれど、かっこいいと思うものが同じ人と一緒に頑張れるのはうれしいんですよね。ここで速く走るために汗ばんで、髪も長くてひげ面で、っていう人たちがかっこよく思えるんです」

――皆さん、パッと見怖そうですが、優しい方が多いですね。

「そうなんですよ。見た目で判断するのはいけないです。こんな男たちを知れることもレースの一つの醍醐味だと思いますよ。休みだからサクっと『レース見に行こうか』なんてかっこいい女子が増えてくれたらうれしいですね。女性のレーサーも増えてきているので」

取材の最後、ウエアの胸元から折り紙を取り出し、「友達の子供からもらったお守りなんです。楽しもうと思っても、サーキットに向かっている途中は、どうしてもとてつもない緊張感に襲われるんです。でも。子供とハグすると気持ちが落ち着くんですよね」と優しい笑顔で金色の可愛いハートの折り紙を見せてくれた。

以前より長瀬が大きく見えたのは、レース仲間や関係者たちはもちろん、その家族たちからの大きな愛に支えられて、命をかけた戦いに挑んでいるからなのだろう。サーキットに行けば、進化した表現者・長瀬智也に会える。次のレースは11月10日。必見です!

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