ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像一覧
ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 1枚目
ゲスの極み乙女(撮影=池村隆司)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 2枚目
ゲスの極み乙女(撮影=池村隆司)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 3枚目
川谷絵音(Vo/Gt)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 4枚目
川谷絵音(Vo/Gt)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 5枚目
休日課長(Ba)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 6枚目
休日課長(Ba)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 7枚目
ちゃんMARI(Key)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 8枚目
ちゃんMARI(Key)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 9枚目
ほな・いこか(Dr)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 10枚目
ほな・いこか(Dr)
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 11枚目
ゲスの極み乙女
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ゲスの極み乙女が振り返る“10の転機”の画像 12枚目
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ゲスの極み乙女のメジャー6作目となるアルバム『ディスコの卵』がリリースされた。メンバーそれぞれの活動もますます活発化するなか、彼らにしか鳴らせないグルーヴとアンサンブルを“踊る”というゲスがずっと表現し続けてきたテーマに昇華した充実作だ。そのリリースを記念して、今回リアルサウンドでは、ゲスの極み乙女の歩みのなかで訪れた10の転機をピックアップ。さまざまな出来事を経て変化し続けるゲスのヒストリーを、メンバー4人で振り返ってもらった。
①結成
「先のことは何も見通してなかった」
――ちょうど12年前にゲスの極み乙女。はスタートしたわけですけど、あらためて結成当時の気持ちを振り返るとどうですか?
川谷絵音(以下、川谷):先のことは何も見通してなかったですね。当時はただただ“遊び”っていう感じだったので、何も考えてなかった。課長は働いてたしね。
休日課長(以下、課長):そうそう。
川谷:水曜日のノー残業デーと土日だけライブをやるっていう。そもそも1年目ってライブはほとんどやってなかったし。
ちゃんMARI:1年目は、11月くらいに1本やっただけだったよね。
課長:最初スタジオ入って、ちょっと空いて、また次のスタジオとかって感じだった。
――でも、一応スタジオ入って曲作って、音源にしてっていう目論見はあったんですよね。
川谷:いや、それもこのままだと特に何もせずに終わりそうだなって思ったから、僕がレコーディングを勝手に決めて(笑)。CDのクレジットとかも勝手に決めて。そうやってやらざるを得なくしたっていう感じでしたね、どっちかと言うと。でも、やってみたら「変な曲ができたな」って思って。「ライブでやってみたら面白いかも」みたいな。
ちゃんMARI:当時は他にもバンドをやっていたんで、本当に息抜きみたいな感じでスタジオに入ってたような記憶があります。でも実際入ってみたらすごく楽しくて。それまでやってたバンドの感じともまったく違う感じでやりたかったし、実際そういう感じになったから「あー、面白いな」って。
ほな・いこか:私も当時はいろいろなバンドをやりたい時期だったんです。別のバンドを組んでたんですけど、いろんな人とやってみたいなと思ってSNSで言ったら拾ってくれたのが川谷さんだった。indigo la End(川谷に加え、休日課長も当時メンバー)もCRIMSON(ちゃんMARI所属のバンド)も好きだったので、「なんか楽しいバンドできちゃった!」みたいな。そんな感じでしたね。
課長:うん、最初は「バンドやろうぜ!」って感じじゃなかった。「スタジオでセッションして遊ぼう」という話からだったんです。でも、気づいたらどんどんバンドになっていった。“バンド名がついた”というのがデカかったかもしれないですけど、実感としてはだんだんバンドになっていった感じでした。
――音楽性も決めていたわけじゃないんですよね。
川谷:そう。ちょっとラップ要素を入れるとか、早口を入れるとかっていうのぐらいしかなかったです。
――それは川谷さんのなかではインディゴ的ではないものをやりたかったということ?
川谷:そうですね。ちょうどその頃、インディゴが『スペースシャワー列伝ツアー』に出た時に、僕ら以外の周りのバンドはもれなく盛り上がってたんですよ。だから、盛り上がるバンドがやりたかった。それでディスクユニオンで自主盤を出したら、めちゃくちゃ売れたんです。それもあって盛り上がるようになって。そのあと後輩のバンドの企画に呼ばれたら、僕らのお客さんだけで40人くらいいた。めちゃくちゃ盛り上がってましたね。
課長:急に盛り上がったから、「会社にバレたらヤバい!」って思ってました(笑)。
②初めてのCDリリース
「名前を決めた時くらいから狙い始めてた。結果想像通り、いや想像以上になったなって」
――それで2013年に『ドレスの脱ぎ方』をリリースしたわけですが、「ぶらっくパレード」のMVがハネたじゃないですか。あれは狙った感じだったんですか?
川谷:僕はもう、名前を決めた時くらいから狙い始めてた。メンバーの名前とか、“ゲスの極み乙女。”というバンド名とか。バンド名は僕が考えたわけじゃないんですけど、いい名前だったし、そこからいろいろアイデアが湧いてきて。途中から狙いに行って、結果想像通り、いや想像以上になったなって感じでした。
――曲もさることながら、メンバー4人のキャラクターが最初からはっきりしていたし、それを打ち出してもいたじゃないですか。あれはどういう狙いがあったんですか?
川谷:「メンバー4人ともわかるバンドっていないな」と思って。そういうバンドのほうが絶対うまくいくだろうなと思ってたんです。でも、最初は「indigo la Endの人がやってるバンド」というふうに言われていたから、それを打破したくてメンバーのキャラづけをしていった。
ちゃんMARI:気がついたら名前がついてましたからね、「ほう……?」みたいな(笑)。最初は戸惑いもあったりしたんですけど、あまりやったことがないようなことなので、面白がってたかもしれない。
課長:最初は「“ほな・いこか”ってすげえな」って思いましたからね。
ほな・いこか:名前を知った時にはCDもできちゃって、もう出ちゃうから何もできなくて。「これでいきます」って言われたから「誰?」みたいな(笑)。“ほな”って入ってるから私のことなんだろうなと思ったけど、もう変えることも無理だった。でも、その時はみんな変な名前で、川谷さんも“MC.K”だったし、まあいいかと思って。それで「ドSキャラにしよう」って……言われたんでしたっけ?
川谷:僕が言った。
ほな・いこか:「ドSキャラでいこう」となって始まっていった時に、キャラに迷いすぎちゃって。ラジオに出ても、目上の方にタメ口で話して、終わったあとに「すみません!」って言って帰っていく、みたいな(笑)。血迷ってた時期がありますねえ。ドラムセットの上に立って「かかってこい!」って言ったりとか。でも、「かかってこい!」は別にドSじゃないんですよ。
ちゃんMARI:あはははは!
川谷:でもまあ、上から言ってるっていう(笑)。そういう要素がうまくいった要因ではあるからね。課長がほな・いこかのことが好きっていうキャラとかも――。
ほな・いこか:今もたまにステージで普通に「かわいいね」って言ってくれたりするし(笑)。
課長:当時のキャラが今もなんとなく続いてる(笑)。あの時、すごい刷り込んだからなあ。
③indigo la Endと同時にメジャーデビュー
「このまま行くとライブハウスで終わるなと思った」
――そして2014年にゲスはメジャーデビューを果たしました。インディーズ時代はまさにフェスで盛り上がるような音楽を突き詰めていた感じですけど、メジャー1stミニアルバムの『みんなノーマル』はかなり方向性が違いましたよね。
川谷:このまま行くとライブハウスで終わるなと思ったんです。あの時すでに売上的にインディーズのレベルじゃなかったんですけど、メジャーに行くとなったらもっと適応していかないといけないし、ポップスをやりたいなと思って、方向転換をしました。その時は「まったくゲスっぽくない」って言われたんですけど、「パラレルスペック」とか今ではゲスの極み乙女っぽいんだけど、当時は「インディゴだ!」って言われてた。途中から誰も言わなくなったんですけど。
――じゃあ、メジャーデビューのタイミングというのは「この先どこに進んでいくのか」というような意味でも転機だったんですね。
川谷:そうですね。課長が仕事辞めたぐらいの頃なので。
課長:「どこまで行くんだろう?」みたいな感覚だった気がするけどね。会社も辞めたし。
ほな・いこか:よく辞めましたよね。
ちゃんMARI:本当に。
――大きな決断じゃないですか。人生において「このバンドでやっていくぞ」っていう。
課長:でもよかったと思います、あのタイミングで。それまで会社で働いていたこともよかったと思うし。
――みなさんは「メジャーデビューする」という変化をどう感じていました?
ちゃんMARI:やっていること自体はインディーズとメジャーでそこまで違いはないと思うんですけど、ライブに来てくださるお客さんが急に増えたりとか、それまでにやらなかったこと――メイクとか衣装をきちんと作り込んだアー写撮影をしたり、やったことない経験がどんどん増えていって。「こうやってやってるんだな」と思ったりしました。
ほな・いこか:基本的に速かったんですよ、すべてのスピードが。最初のCDを出したらディスクユニオンで一気に売れたりとか、MVが話題になったりとか。メジャーデビューも、そうやってうわーっと過ぎていくなかのひとつではあったんです。でも、バンドをやってる身としてはメジャーデビューするってすごいことだから、「ついに来てしまったか」という。「メジャーデビュー来ちゃった」みたいな。そこからバンバン決まっていって。
――実際、2014年から2015年にかけての期間は活動のペースとしても相当なものだったじゃないですか。リリースのペースもすごかったし。
川谷:でも、作るのはあまり苦じゃなかった。やりたいことがいっぱいあったから、それをその都度やっていた感じで。ペースが早いとも思ってなかったです。体調は崩してましたけどね(笑)。
ほな・いこか:体調、ずっと崩してましたよね。合宿したりしてたし。
川谷:そう、合宿が意外とよくなかった(笑)。都内だと家に帰れるし、帰らないといけないからそんなに遅くまでやらないんですけど、泊まりだからどこまでもやれちゃう。朝までやって、また次の日昼から頑張る、みたいな。それで睡眠不足になっていったのもあった。忙しかったから、ツアー先でも曲を作ってたんです。覚えてるのは、金沢のライブハウスに併設されているスタジオで「ロマンスがありあまる」を作ったんですよ。納期もあったからパパッと作って。そんな感じで、“本腰入れてる感”がなかったのがよかったのかもしれない。
④大ブレイクを経て『NHK紅白歌合戦』出場へ
「“このままだとヤバいぞ”みたいな焦りがあった気がする」
――2015年の年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場しましたが、あの年はゲスフィーバーの最初のピークで。音楽番組だけじゃなく、バラエティへの出演も多かったですよね。
川谷:キャラが強かったので、たとえば『しゃべくり007』(日本テレビ系)とかでもテーマがいろいろあって、メンバーそれぞれにフォーカスできる感じがあって、あまり誰かひとりに負担がかかっている感じもなかったので、それは楽でした。
課長:助け合える感じがあったよね。
川谷:僕に話を振られる時もあるけど、4人で分担していた感じがありましたね。変な名前のバンドで、変な4人がやってる、みたいな感じでもあって、テレビが使いやすいバンドではあったと思う。
――人気が盛り上がるにつれて、ライブのスケールもアリーナ級になっていったじゃないですか。そうやって“デカい会場でやる”という部分で苦労したりはしましたか?
課長:それはめちゃくちゃずっと思っていたんですよ。メジャーデビューするタイミングぐらいから「ヤバいな」という思いはすごいあった。のぼり詰めていくスピードが速いので、演奏面でめちゃくちゃ悩んでたというか、とにかくやらないとなっていう感じがすごくありました。(モニタースピーカーから)イヤモニを使うようになるタイミングでも、マイクを立ててイヤモニの練習をしたような気がする。
川谷:してましたね、課長は。
課長:「このままだとヤバいぞ」みたいな焦りがあった気がする。
――音楽的にも、『みんなノーマル』と『魅力がすごいよ』のあいだでも結構変わってる感じがするじゃないですか。『みんなノーマル』はシーンに対するアンチテーゼみたいな意味合いもすごくあったと思うんですけど、『魅力がすごいよ』はバンドとしての強さをナチュラルに伝えるようなものになって。バンドとしてグッと成長した感じがありましたよね。
川谷:うん。アンチテーゼで曲を作るということが面白くなくなってきて。特に言いたいこともなくなった感じがしていたんです。どちらかというと、バンドが上がっていくなかでの自分の気持ちみたいなもののほうが自然と歌詞として出てきたので、そのほうが書きやすかったし、バンドとしてももっとポップスとして成り立つ曲を作ろうと思っていたのもあったので。聴きやすいように、だんだんアバンギャルドな感じを薄めていった感じはありました。
⑤初の日本武道館公演と活動休止
「“転機”といったら、たぶんそこしかないぐらい」
――2015年にかけてゲスの極み乙女。が社会現象化していったあと、2016年には初の武道館ワンマン(『ゲス乙女大集会~武道館編~』)をやる一方、一時活動休止という出来事もありました。あの時期に休んだというのは、結果的に今のゲスにとってとても大きなことだったんじゃないかなと思うんですけど、あらためて振り返るといかがでしたか?
川谷:それまで、あんなに休むことはなかったんですよね。といっても、数カ月の話ではあるんですけど、その間にいろいろ考えたこともあるし、一度立ち止まって考えることができた。冷静には考えてなかったですけど、その時にしか経験できないこともあったから、いろいろな国に行ってみたりとかして。よくも悪くもそういう時期があったからまとまった考えもあるというか。結果論なんですけどね。
――休んで戻ってきた時に、バンドの放つエネルギーやテンション感はやっぱり変わりましたよね。
ちゃんMARI:休む前は、本当にゲスの極み乙女。のことしか考えてなかったんです。結成した当時は私はまだアルバイトとかもしていて、「音楽で食べていきたい」みたいな気持ちが強かった。「ゲスの極み乙女。だったらそれができるんじゃないか」と思って、わーって走ってきたんですけど、それがなくなった時に、ゲスの極み乙女。を結成する前に自分がやりたかったことをちゃんとやろうと思って。そこに向き合って、いろいろ考えたりした時期だったと思います。で、それがまた、ゲスの極み乙女。に戻ってきた時にちゃんと全部還元できるように、どんどん相乗効果で高めていけるように、って。
課長:活動を休止した時に、いつも当たり前だったものとちょっと距離ができるというか。自分にとってゲスってデカい存在だったんだな、って。だから、再開した時は純粋に嬉しかったし、「このメンバーだから“会社を辞める”という決断ができたんだな」とか思ったりして。地に足ついて「よしやるぞ!」とあらためて思えた記憶があります。
ほな・いこか:うん。その期間で自分がやりたいことを見つめ直せたというのもあるし、だからこそ結果的には何かがクリアになったんだろうなって。
――今回“10の転機”というテーマでインタビューしてますけど、これほど大きな転機もなかったですよね。
川谷:“転機”といったら、たぶんそこしかないぐらい(笑)。あとはもう最初だよね。
ちゃんMARI:それ以外はだいたい同じことやってる気がする(笑)。
――川谷さん自身も、戻ってきたと思ったらすごい量の仕事をしていきましたよね。それもきっと、ゲスの極み乙女。というバンドがどういうポジションなのかがクリアに見えている状態だからこそ、いろいろやることができるようになっていったのかなって気がするんですよ。
川谷:今はそうなんですけどね、でも当時はあんまり考えずにやってた。自分のフラストレーションだったり、状況を打破するためにとりあえず何かやらないといけないという思いもあって、見境なく仕事を受けていた状態だったんですよ。選ぶようになったのは、最近になってようやくですよ。だから、正直やりたくないこともやってた。でも、それが自分にとってプラスになったらいいなって。
⑥活発化していく個人活動
「個々が別のことをやっているからこそ、今はすごく濃い時間が過ごせている」
――川谷さんだけじゃなく、メンバーそれぞれの活動も活発になっていきましたよね。各々のなかでそういうアクションが増えていったのはどうしてなんでしょうね?
川谷:それぞれがそれぞれでやるのも、それはそれでいいと思っていて。それでまたここに戻ってきた時に――よくインタビューでも言っていたんですけど、それぞれのキャラが立っているから、逆にそれぞれがもっとすごいことになったほうがバンドとしては有益というか。バンドとして走り続けることしかやってこなかったので、それぞれが大きくなって戻ってくるみたいな。バンドって違う人生の人が集まっている箱みたいなもので、みんなが外側から思っているよりも複雑で、それを尊重し合わないと続かないと思うんです。だから、みんながそれぞれにやりたいことを尊重して、かつ音楽をちゃんとやっていくという方向にいったというか。
――今回リアルサウンドで4人全員でご登場いただくのは初めてなんですけど、過去にどんな記事が出ているのかと見たら、課長が『TERRACE HOUSE OPENING NEW DOORS』(Netflix)のことを話しているインタビューがあったんです(※1)。
ちゃんMARI:そんなのあったんだ(笑)。
課長:あれはめっちゃ転機だった。大転機!
――課長はそのあと料理でもブレイクしたし、いこかさんも女優として本格的に活動開始したし、ちゃんMARIさんもソロデビューしたり、プロデュースワークを始めたり。全部の始まりがあの時期だったというのは意味があると思いますね。
ちゃんMARI:やっぱりずっと一緒にいられるわけじゃないから、というのは思います。せっかく4人で一緒にいるからこそ「こういうことをしよう」とか「何かできるかな?」とか、その時間に集中してやりたいという気持ちが強くなりました。
ほな・いこか:個々が別のことをやっているからこそ、今はすごく濃い時間が過ごせているなと最近は特に思っていて。レコーディングもそうなんですけど、その集中力の高さがあるのはすごいことだなって。そこには個々の持っているものと育ってきたものを共有できているというのがあるんだろうなと思います。
――ゲスの極み乙女として表立って活動するタイミングは限られてきていますけど、たとえばジェニーハイとか礼賛の現場でも、ゲスメンバーの力が発揮されているわけじゃないですか。バンド、チームとしてのゲスのあり方も、よりフレキシブルになってきている感じがするというか。
川谷:そうですね。インディゴやジェニーハイの弦アレンジをちゃんMARIに頼んだりとか。提供楽曲で仮歌を歌ってもらったりもしているんですよ。
ちゃんMARI:すごい楽しかった(笑)。
川谷:それもゲスでボーカルをやったことがデカかったと思うし、ソロでもやっているからだと思うし。今までとは違うこともできるようになってきた。ちゃんMARIは音楽の才能が素晴らしいので、放っておいても大丈夫(笑)。ほなみちゃんも放っておいて大丈夫でしょ。課長も今はそうなんですけど、課長は『TERRACE HOUSE』前はーー。
課長:『TERRACE HOUSE』前(笑)。
ちゃんMARI:『TERRACE HOUSE』以前/以後っていうものが存在する(笑)。
川谷:(笑)課長は真面目だから、真面目ゆえに失っている機会があるなと僕はずっと思っていたんです。バラエティでももっといろいろ活動できるのに、って。そう思っていたから、もともと僕自身好きだったのもあって、『TERRACE HOUSE』に課長が出たら絶対ハネると思った。それで、面接に行ってもらったんです。
――そうだったんだ。
川谷:そこから課長の個人活動は、めちゃくちゃ変わった。それがチェックメイトみたいな感じで、本当に『TERRACE HOUSE』に出てからは課長も放っておいても大丈夫になった。
ちゃんMARI:結果、今はみんな放っておいて大丈夫(笑)。
課長:たしかにあれは変わりましたね。認知度が全然変わった。
ほな・いこか:キャラがはっきりしましたよね。
課長:たしかにそうかも。
ちゃんMARI:一回も話したことない出演者の人にフェスで話しかけてもらったりね。
川谷:みんな、「『テラハ』観てました!」みたいな話になるもんね。
課長:今でもなるよね。
ほな・いこか:私でさえ言われるもん。
ちゃんMARI:あ、私も言われる(笑)。
⑦indigo la Endとの対バン『馳せ合い』開催
「(indigo la Endは)やっぱり上手いから、ライブを観てて“うわあ!”って」
――そうやってそれぞれの世界が広がって今に至るっていうことなんですけど、川谷さんの中心にはindigo la Endとゲスの極み乙女というふたつのバンドがずっとあって。そのバランスは変わってきましたか?
川谷:インディゴとゲスが2本の柱としてあるのは、そんなには変わらないです。活動ペースに変化はあるんですけどね。あとインディゴのメンバーはゲスと違って、ある程度の距離感あるんだよ、やっぱり。
ほな・いこか:メンバー内で、っていうこと?
川谷:うん。たとえば、僕の一年のなかで8割インディゴで活動して、あとの2割がゲスだったとしても、半々くらいに感じるんだよ。
ちゃんMARI:(笑)。
――そんなに薄いんですか?
川谷:特に打ち上げもないし、あんまり話さない。ずっと薄い感じで続いてる(笑)。
ちゃんMARI:細く長くって感じなんだ。
川谷:ゲスは会ったら喋ったりするし、ライブとかの打ち上げも行けたら行くし。だから全然違う。そこでバランスが取れてる感じがあるかな。
――ゲスのメジャーデビュー5周年(2019年)のタイミングで、ゲスとインディゴのツーマン『馳せ合い』を始めたじゃないですか。そこではゲスの空気感とインディゴの空気感が同じ現場で混ざり合うと思うんですけど、あれをやったことって両バンドに影響ありました?
川谷:あるのかなあ? 僕は、ファンの人たちが喜べばいいなと思って始めたから。インディゴの長田(カーティス)くんがいつも言ってるけど、「ゲスが盛り上がりすぎてて、そのあとの自分たちが盛り上がってない」みたいな。
ほな・いこか:そんなことないし!
ちゃんMARI:聴いてるんだよ。
川谷:というのは見て思うんじゃないですかね。ボーカルも変わらないし、お客さんもあんまり変わらないのになぜかそうなる。それは曲調が違うからしょうがない話なんですけどね。でも最近、長田くんのライブパフォーマンスが外を向いてるなと感じる時があって。それはゲスの影響があるかもしれないなと思ってます。本人にそれを言ったら嫌がると思うんですけど(笑)。
――逆に、ゲスがインディゴから影響を受ける部分ってありますか?
ちゃんMARI:やっぱり上手いから、シンプルにライブを観てて「うわあ!」って思ったり。みんなが大人しくインディゴを観ていたとしても、私はめっちゃ踊ります。私しか踊ってない時もあるけど(笑)。
――『馳せ合い』はもう5回もやってますよね。去年はたくさんやったし。っていうことは、「お客さんのために」という部分が大きくあるにしても、ならではの面白さみたいなものもあるんでしょうね。
川谷:そうですね。セットリストもそこでしかないセットリストになったりするし。タイトルもだいぶ定着してきたなと思うので、他のバンド同士でやっても面白いかもしれないですね。ジェニーハイと礼賛とか。
ちゃんMARI:それ観にいきたい!
⑧コロナ禍
「声出しできない時でも大丈夫だったんですけど、OKになった瞬間には“おー!”って」
――これはゲスに限らず世のなかの大きな転機だったと思うんですけど、コロナ禍の時期はどうでしたか? インディゴのメンバーはよく「もともと盛り上がってなかったからそんなに変わらなかった」って言ってますけど、ゲスは違ったんじゃないですか?
川谷:でも、僕らもその頃はずっとホールでライブをやって空気感には慣れていたし、そんなに影響がなかったような気もする。
課長:そうだね。だから声出しできない時でも大丈夫だったんですけど、声出しOKになった瞬間には「おー!」って思った。
――ああ、戻ってきた時に?
川谷:声出しOKになった去年のツアー(『ゲスの極み乙女 ONEMAN TOUR 2023「歌舞伎乙女」』)、名古屋ダイヤモンドホールの熱量がすごかったんです。これは本当に違うなって、たぶん全員が思ったと思う。
ちゃんMARI:うん、グッときちゃった。
川谷:声出しOKになってパフォーマンスも変わりましたからね。
――ゲスはライブをずっと大事にしてきたバンドだと思うんですけど、ライブをする機会自体が貴重になってきているというのもあって、1本にかける思いが変わってきてるのかなとも思います。
川谷:そうですね。今回のツアーもめちゃくちゃ本数があって、スケジュールもギュッとしてるからまた成長していくだろうし、それは楽しみだなって思います。
⑨「ゲスの極み乙女。」から「ゲスの極み乙女」へ改名
「『。』が取れたのはちょっと悲しかったなあ。いつか帰ってきてくれるかな?」
――そして10周年を迎えて、バンド名から「。」が取れました。「終わりが来ないように」という意味合いだと説明がありましたけど、そこにはどんな気持ちの変化が表れていたんでしょうか?
川谷:10周年だったのもあって、何かしらのアクションをしようと思って、「。」を取っただけというか。みんなで考えたって感じもあまりなかったんですよね。
ちゃんMARI:そうそう。「取れるんだ」みたいな。
川谷:ちょっと寂しがってたけどね、特にほなみちゃんは。
ほな・いこか:うん、寂しかった。違う案として、“ゲスの極み乙女2”もあったんですよ。でも、「果たして本当にそうかなあ」って(笑)。「。」が取れたのはちょっと悲しかったなあ。いつか帰ってきてくれるかな?
川谷:戻す? 明日くらいに。
ほな・いこか:早いね(笑)。
ちゃんMARI:ゲッターズ飯田さんが「あの『。』がいいんだよ」みたいなことを前に言ってたからさ。
――ああ、占い的な意味で?
川谷:じゃあつけよう。今日決めたから、明日から(笑)。
――一度取ったので、しばらくは取ったままでいいんじゃないですか?
川谷:でも、もう2年くらい経ってるし。
課長:またクレーンでくっつける作業を撮らないと(笑)。
――でも、あそこで「。」を取ったというのは、川谷さんのなかでこのバンドが続いていく感覚があるんだと思います。
川谷:そうですね。
――あらためて考えると、川谷さんが始めたバンドやプロジェクトを自分で終わらせたことってないですよね。
川谷:課長とやったボカロ(学生気分)は終わりましたけど……。
――あれ、終わったんですか(笑)。
川谷:終わってると思います(笑)。美的計画もしばらくやってないけど、あれは不定期ですし。別にやらなくても誰も悲しまないんですよ。ツアーはいつでもできるんですけどね。
⑩デビュー10周年~今
「一生ふざけつつ、一生かっこよくみたいな感じでいられたらいいな」
――最後に未来の転機について伺います。ゲスの極み乙女の未来像について、今何か思い描いているものはありますか?
川谷:音楽性としては、もっとハイブリッドなものにしたいなって思う。自分のなかでは、この『ディスコの卵』というアルバムを経てやりたいことが定まってきているので、その作品を作りたいというのももちろんあります。あと台湾でのライブ(『ゲスの極み乙女 ワンマンツアー 2024 「ナイトクラビング」』7月15日 Zepp New Taipei公演)もあるので、海外の人に向けてもっと発信していきたいなって。
ちゃんMARI:昔とあまり言ってることは変わらないかもしれないですけど、自分たちがおじいちゃん、おばあちゃんになった時に聴き返して「やっぱりいい曲だった」と思えるような曲をこれからも作っていきたいなって思いますね。
課長:この4人でできるっていう、その場の楽しい瞬間に自分が面白くいられるように頑張りたいなって思いますね。それもずっと変わってないです。
ほな・いこか:私も「楽しいな」「面白いな」と思えることがずっと続けられている状態なんで、一生ふざけつつ、一生かっこよくみたいな感じでいられたらいいなと本当に思います。
――楽曲におけるふざけかたや遊び方も、なんかすごく洗練されてきている感じがしますよね。
川谷:そうですね。でも、洗練されていると面白くなくなってしまうところもあるので、もうちょっと崩していきたい部分もあって。いろいろ考えてます。
※1:https://realsound.jp/tech/2019/04/post-342990.html
(文・取材=小川智宏)