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実用性を考えたらSUVが魅力的に見えるし、走りを楽しむならセダンを選びたい。けれど、どちらも望むなら・・・改めて注目されるべき存在が、「ワゴン」だろう。後編は、ワゴンならではのドライバビリティについて検証してみよう(MotorMagazine 2024年6月号より再構成)
目線の低さが、安定感と安心感につながる●E200 ステーションワゴン アバンギャルド
今、あえてワゴンを選ぶ理由として欠かすことができないのが、やはり走りだろう。その点でも期待を裏切らないのが、この2台。「やっぱりワゴンだよな」という思いに、しっかり浸らせてくれる。
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まずはE200ステーションワゴンに乗り込む。MBUXスーパースクリーンを備えていた今回の試乗車。前席のスペースはゆったりとしているが、後席は座面の端が丸められていて座面長もやや短めなのが気になると言えば気になる。
また、後席に独立したクライメートコントロールが備わるのは、遅れて追加されたE300ステーションワゴン エクスクルーシブだけとなる。
シャシは伝統どおりリアに車高調整機能、要するにエアサスペンションを備える。これが効いているのだろう。乗り心地はとてもソフトで、しっとりとした感触が心地良い。セダンで感じる路面のギャップを通過した際のコツコツとした硬さも、解消とは言わないが半減という感じだ。
そのぶん、路面のうねりを乗り越えた時などはノーズが大きく上下に動く。しかしながら、それを確かなダンピングで収めて、安定感ある走りに導くのがメルセデス・ベンツ。さらに言えば、背の低いステーションワゴンだからこそ、こうした足まわりの設定ができたことは間違いない。
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フットワークは安心感が高く、かつ軽快。高速道路からワインディングロードまでリラックスして楽しめる。目線の低さはスポーティさにも疲れにくさにも繋がっている。改めてワゴンの魅力を実感した次第だ。
パワートレーンも完成度は高い。2L直4ターボエンジンは単体でも十分力強いが、今回いい仕事をしているのが新たに組み合わされた23ps、205Nmと強力なISG。発進、そして加速の際に素早くアシストを行い、小気味良い走りを可能にしている。
静粛性も美点だ。室内に居るとエンジンがカプセルに包まれて遠くに置かれているかのように思えてくるほどなのである。
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【メルセデス・ベンツE220d ステーションワゴンアバンギャルド 主要諸元】
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1997cc
●最高出力:150kW(200ps)/5800rpm
●最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1600-4000rpm
●WLTCモード燃費:13.9km/L
●CO2排出量:167g/km
●モーター:交流同期電動機
●モーター最高出力:17kW(23ps)/1500-2500rpm
●モーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/0-750rpm
●全長:4960mm
●全幅:1880mm
●全高:1470mm
●ホイールベース:2960mm
●車両重量:1910kg
●駆動方式:FR
●トランスミッション:9速AT
●ブレーキ フロント:Vディスク・リア:Vディスク
●タイヤサイズ フロント:245/45R19・リア:275/40R19
●価格:928万円
滑らかな転がり感がもたらす「癒し」●540i xDrive ツーリングMスポーツ
続いて540i xDrive ツーリングMスポーツに乗り換える。室内空間はこちらも全席余裕たっぷり。独立した後席用エアコンも備わる。運転席まわりの意匠は最新のものではないが、まだまだ古めかしい感じではない。各部のクオリティも上々だ。
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ただし、センターコンソールにある携帯電話用の充電トレイが小さくiPhone Pro Maxが収まらなかった。7年という月日を感じた瞬間だった。
やはり、リアにエアスプリングを用いたシャシが織りなす走りのタッチは剛性感よりはしなやかさが際立つ。包み込むような乗り心地、滑らかな転がり感がもたらすのは、極上の癒やしだ。
3L直6ターボエンジンのまさしくシルキースムーズな回り方も、滑らかでとろけるよう。低速域の力強いトルクと心地良いハミング、回していくにつれて粒が揃ってくるサウンドと回転感覚には、まさしく内燃エンジンを歌わせる歓びがあふれている。
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フットワークも素晴らしい。当たりは柔らかいけれど反応は正確で、FRベースらしいリニアリティに富む。操舵した方向にロールを感じさせることなくスッと向きが変わる感覚は、これぞBMW。
SAVモデルにだって何の不満もないけれど、あえてツーリングを選ぶ意味は、この点だけを取っても確かにあると感じさせた。
しかも、そんな走りの一方でハンズオフ機能付きの運転支援装備まで備わるのだ。それも含めて正直、モデルライフ末期の5シリーズの走りに、こんなに心動かされるとは思わなかったというのが正直な印象である。
Eクラス ステーションワゴンには遅れてE220dオールテレインと、E300ステーションワゴン エクスクルーシブが追加されている。とくに注目は後者。
ノーズマスコットを戴く外装、出力を高めた2L直4ターボエンジン、そして待望のAIRMATICサスペンションの搭載で、ワゴンとしての魅力がさらに高まっている。予算のことはさておき、個人的には選ぶなら断然コレである。
そして5シリーズ ツーリングについては、冒頭に記したようにすでに新型が登場している。拡大されたサイズ、BEVが中心のラインナップなど気がかりも少なくないが、結論は実際に触れてみてから出すべきだろう。(文:島下泰久/写真:永元秀和)
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【BMW 540i xドライブ ツーリング Mスポーツ 主要諸元】
●エンジン:直6DOHCターボ+モーター
●総排気量:2997cc
●最高出力:250kW(340ps)/5500rpm
●最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1500-5200rpm
●WLTCモード燃費:10.5km/L
●CO2排出量:221g/km
●全長:4975mm
●全幅:1870mm
●全高:1500mm
●ホイールベース:2975mm
●車両重量:1940kg
●駆動方式:FR
●トランスミッション:8速AT
●ブレーキ フロント:Vディスク・リア:Vディスク
●タイヤサイズ フロント:245/40R19・リア:275/35R19
●価格:1216万円