万博と同年の国スポ、滋賀県開催と知ってますか? 認知度低く廃止論も、宿やバスに影響は

県庁内に設置されている、大会開幕までの残り日数を知らせるボード

 2025年に滋賀県内で開催される第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会(国スポ・障スポ)。国スポの総合開会式が行われる来年9月28日まで、16日で500日となる。残り1年半を切り、会場となる施設はほぼ完成。選手強化も着々と進められている。一方で県民の認知度が高まらないことや物価高などに伴う開催経費の上昇といった課題も抱える。

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 国スポ・障スポを巡っては課題も少なくない。その一つが認知度の低さだ。

 県が2022年度に行った県民対象の調査によると、認知度は国スポが46.2%、障スポは23.6%にとどまり、「いずれも知らない」との回答は51.6%に上った。特に女性や若年層の認知度が低い傾向にあるという。

 「さまざまな場面で大会の情報に触れる機会を増やしたい」と県の大会局。ポスターの掲示やイメージソングの放送、SNS(交流サイト)での発信をはじめ、企業や団体、市町と連携して幅広くアピールしたい考えだ。「誰でも参加可能なデモンストレーションスポーツやボランティアなど身近さを訴えたい」としている。

 大会経費の上昇も懸念される。今年2月の最新の試算によると、県の総事業費は計598億円。物価高騰や施設の計画変更などで、22年8月時点から計51億円増加した。

 平和堂HATOスタジアムを含む彦根総合スポーツ公園の整備費に加え、式典や競技運営などの開催経費も上振れしている。これとは別に、市町分の経費もある。

 県は開閉会式の効率化や競技用具の再利用などで経費削減を図る方針だが、「資材や人件費の高騰の影響を懸念しており、今年開催される佐賀県の状況などを注視している」として、さらなる増額にも含みを持たせる。

 2万人規模となる選手らの輸送や宿泊についても準備を進めている。バスは1日最大必要数を737台と計算し、半数は既に確保済み。実際の必要台数は試算より少ない見込みだが、広域的に対策を行う。客室は県内中心に隣接4府県にも提供を依頼。本年度末までにほぼ押さえられる見通しという。

 25年には大阪・関西万博も控えるが、県はバスや客室確保への影響はそれほどないとみており、三日月大造知事もむしろ来県者が増えるとして「ビッグチャンス」と受け止める。国スポ・障スポの経済効果について、県は大会経費を上回る1184億円とはじく。

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