アニメーションに託す平和の願い。「ひろしまアニメーションシーズン2024」関連企画上映会が開催

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8月14日(水)から18日(日)まで開催される国際アニメーション映画祭「ひろしまアニメーションシーズン2024」の関連プロジェクト「ひろしまアーティスト・イン・レジデンス(以下H-AIR)」の一環である上映会「HELLO!HIROSHIMA」が今月12日に開催された。

上映会では招へい作家のブリット・ラース(ベルギー)、ダニエル・ウェセイク(オランダ)、ムン・スジン(韓国)の作品が上映され、観客は、世界のアニメーション制作の第一線にいる作家たちの話に耳を傾け、作家との交流を楽しんだ。

「H-AIR」は、「ひろしま国際平和文化祭」のメイン事業「ひろしまアニメーションシーズン」のアカデミー事業内で実施する、アニメーション関係者を対象としたレジデンスプロジェクト。国内外から選出された3人のアニメーション関係者を広島市に招き、制作活動等を通して招へい者のキャリア構築、広島のアート・カルチャー環境を豊かにすることを目的としている。

今後3人の作家は、滞在地域の地元住民や芸術文化関係者と交流しながら、映画祭に向けて広島で制作に取り組む。

本プロジェクトは、アニメーションというコンテンツに対して作家と地域住民の交流からアプローチするという、「人」とのつながりに重きが置かれている。

この一連の取り組みは、広島市東区にある比治山大学の全面協力によって運営されており、場所の提供からワークショップやイベントの運営・協力、翻訳の手伝いなど、比治山大学の学生と教員が一丸となって活動する。さらに、広島T-SITE(蔦屋書店)や作家の滞在先の方々などの広島市民のサポートもあり、本プロジェクトは成り立っている。

一般的にはアニメーションといえば商業アニメーションのイメージが強いため、巨大な資本に依らないインディペンデントな性質を持つアニメーションに対して馴染みない人々もいる。そのため、開催地である広島でも映画祭の存在感は薄いのが現状だ。

それを変えたいとする本プロジェクトの共同プロデューサーであり、比治山大学で教鞭を執る宮﨑しずか氏は「人々の交流を通して、アニメーションというコンテンツを好きになってもらいたい。そして、この広島に映画祭が根付いてほしい」と語る。また、比治山大学の事業として取り組もうと決めたことで動き出した当時は手探りの状態だったが、上映イベントの運営を通して、学生が自らの役割や課題を見つけて動くようになったと喜びを語った。

本プロジェクトは、地域連携でアニメーションを通じて「広島」の文化をより豊かにすると同時に、学生という未来ある若者を育てる役割も担っている。

第2回ひろしま国際平和文化祭のコンセプトは、「平和の種をまき、次世代を育てる」だ。

平和とは、他者への想像力が無くては実現しえない。今夏「ひろしまアニメーションシーズン」には、豊かな想像力から生まれたアニメーションが環太平洋・アジア地域を中心に全世界から集う。平和の重要性を発信する国際平和都市広島でアニメーションを観るということ。その実践にこそ平和への願いが託される。

「ひろしまアニメーションシーズン2024」

8月14日(水)~18日(日)
JMSアステールプラザほか
https://animation.hiroshimafest.org/

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