グッチ(GUCCI)の2025年春夏コレクションが、2024年6月17日(月)、イタリア・ミラノにて発表された。
都市と海辺の出会い
今季のグッチのコンセプトとなったのが、都市と海辺の出会いであったという。寄せては返す波を、隔てることなく受け入れる海辺──そこに、クリエイティブ・ディレクターのサバト・デ・サルノは、「自由」を看取したようだ。そこでは海に誘われた自由さを、都会的な佇まいに溶け合わせることで、鮮やかな色彩を帯びた洗練さが追求されている。
今季のコレクションにおいても、決して饒舌になることのない、研ぎ澄まされたデザインが基調にあるといえる。テーラリングを例にとるのならば、ジャケットやコートはショルダーに幾分余裕を持たせたセットイン仕様。構築的なフォルムをベースにボクシーなシルエットで仕立てつつも、ロングコートではバックに大胆なスリットを施し、ジャケットはオーバーなサイズに設定することで、ソリッドなテーラリングにダイナミズムと抜け感をもたらした。
テーラリングに限らず、ウェアのシルエットは、ストレートなラインを引き立てる簡潔な佇まいで仕上げられている。フロントジップジャケットはショートな丈感に設定し、ステンカラーコートも縦のラインが際立つフォルムに。また、エンボス加工を施したレザージャケットは、襟をボディとは異なるカラーで仕上げることで、コントラストを効かせている。
こうしたシャープなウェアに爽やかな雰囲気を吹き込んでいるのが、色彩である。ブラックやホワイト、グレーといったベーシックカラーはもちろん軸とはしつつも、ライムグリーンやスモークピンク、ネオングリーン、ライトブルー、ライトパープルなど、彩りに富んだカラーをウェアに大胆に取り入れることで、洗練されたウェアを快活な佇まいに昇華した。
また、海にちなんだモチーフも随所に取り入れられている。複数のポケットをあしらったシャツには、花の刺繍を。また、ハイビスカスやバナナリーフ、サーファーといった海にゆかりのあるモチーフも数多く採用した。さらに、ビーズのフリンジを全面にあしらうなど、揺らめく海を彷彿とさせる、明朗な雰囲気がコレクション全体を通して展開されているといえるだろう。
